策士クルス(?)







【複製により、”察知””炎散瞬華””重力”を取得しました】


【複製により、”回復””治癒””蘇生””復元””解毒”を取得しました。統合し、”再生”に変換します】


【複製により、”武器術”を取得しました。これに、”剣術”を統合します】


【複製により、”魔法”を取得しました。これに、全ての魔法系魔力適正を統合します】


【複製により、”限界突破”を取得しました。これに、全ての物理戦闘関連魔力適正を統合します】



――【ステータスの整理を行います。――完了】







  ◇◆◇◆◇◆◇






 <名前> リュウ・シルバー(佐藤 亮太)


 <LV> 12


 <魔力適正> ”魔法” ”限界突破” ”付与” ”保管庫” ”複製” ”神力”


 <適正> 複製 神力 氷抵抗 炎電 保管庫 絶空 取得 炎剣 強奪 反撃 

      弱毒 閃光 付与 対処 適応 焔炎


 <スキル> 魔法技能 暗算 成長促進 武器術 成長補正 自然魔力 舞技

       鑑定 鑑定妨害 魔力適正 魔力剣


 称号 女神の心 神の代行者 


 _____________________________________




 日没のころになり、俺はようやく本を読み終わった。全てを複製するには情報が足りなかったが、幾つか増やすことは出来た。

 また、有用なものは多かったけれど、器用貧乏になるのも良くない。そう考えたうえで、複製を実行していった。


 これだけでも、確かな進歩だろう。


 満足した俺は、周囲を見渡したが、庭には誰もいなかった。リリナがいないのは驚きだったが、とりあえず居場所は分かるので大丈夫だ。なぜかって?

 俺の膝の上には、リリナからの置手紙があった。


『お やし きにい っ て る ね』


(あー、うん……)


 まあ理解は出来るのだが、それでリリナは良いのだろうか。恐らく、俺が本に没頭している間に何かあったのだろうが、それが分からない。

 もしかしたら、単純に暇だから行く、という俺の予想である線が一番濃厚な気はする。


 首を傾げた俺だが、とりあえず屋敷に向かった。大きな扉の前に立ち、ノックをすると、すぐに人が出て来た。


 カレンである。(若干顔が赤い)


「あ、リュウ来たのね!入って良いわよ」


 そう言って扉を少しだけ開けてくれたので、俺は中に入った。中は、豪華では表せ無い広さを誇る玄関?だった。

 驚愕し、言葉を失っている俺を見て、カレンは嬉しそうに笑う。


 それが可愛いのだが、人の家で頭を撫でるのは駄目だ。我慢した俺は、カレンの後ろに続いて屋敷の中を歩いた。

 クルスさんらしく、中に無駄な金属や飾りは無く、歴戦の剣や防具が飾ってあった。


 恐らく、昔クルスさんが使った武器だろう。その剣や鎧の質の良さに少し感嘆する俺だが、廊下の長さの方が驚きだった。

 入り口からかなり進んだのに、未だに廊下はずっと先に続いている。


 前に行くカレンを見ると、彼女も面倒そうな顔をしている。それを見て苦笑いした俺は、思わず声をかける。


「長い廊下だね」

「本当よ。お父様は何であの性格でこんなに長い廊下にしたのかしら」


 苦笑するしかない親子関係。


 そんなこんなで、カレンは一つの扉の前で止まった。大きく、木製で押し開きの扉。


「此処が食堂よ。入って」


 そう告げて、カレンは扉を開けて中に入った。

 俺も中に続くと、中にはクルスさんとリリナ、そしてカレンと俺の四人しかいなかった。

 驚きなのは、使用人だったりの人たち――メイドや執事――が見当たらないことまあ、そちらの方が気楽だからクルスさんの配慮に感謝だ。

 

 ちなみに、勿論〝検索〟を使えば多くの使用人だろう人たちの反応が屋敷の至る場所から返ってきた。


 クルスさんは俺に気付くと、視線でリリナに何かを合図をした。俺には意味が分からないが、リリナは笑顔で俺の前まで来て――



「んっ?!」



 ――キスをした。


 その突然の行動に驚く俺だが、顔を離したリリナも頬を赤く染めて俯いている。俺は、先程までリリナの唇が触れていた場所を触るようにして、そのまま固まった。

 かなり、いや、物凄く恥ずかしい気分だ。


 俺は、それを誤魔化すように椅子に座り、クルスさんを睨みつけた。クルスさんは、そんな視線など気にせずに、ニヤニヤとしている。

 けれど、俺は知っている。


 クルスさんのような戦いが好きな人物は、かなり大胆なことでも行う人物だ、と。もっと言えば、無茶な行動を好んで行う人たちでもあると思う。

 今回のも、クルスさんが何かをたくらんでいるのだろう。


 俺はそう決め付け、目前の料理を食べ始めた。もう、クルスさんは知らない!の心理で黙々と食べ続ける。


 既に俺とカレンの分しか残っておらず、カレンも俺の隣で食べ始めた。料理はどれも美味しく、流石に貴族というのが分かる。

 クルスさんにも、この時ばかりはしっかりと感謝をしておく。まあ、恨み九感謝一の割合くらいだろう。

 

 食べ終わった時、隣を見るとカレンが俯いていた。その雰囲気が、子供なのに物凄く色気を感じて、愛おしく思える。

 なぜだろう? この歳では有り得ない欲が体の奥からフツフツと込み上げてくるような――


 と、クルスさんとリリナが部屋を出た。


 クルスさんが部屋から出る最後の瞬間、その顔が俺を見て口角を吊り上げていたのを見た。


(これが狙いか!)


 俺は、自身の願いとは反対にカレンの顔を見つめて止まない。その唇が、瞳が、髪が、全てが色気を放っていて、正気を失いそうになる。

 もちろん、俺は子供なのだから一線なんてものは存在しない。


 しかし、このままなら俺はカレンの唇を奪ってしまいそうだ。それほどに、今のカレンは愛おしくて色気を放っている。

 ふと、カレンの瞳に俺が映った。


「リュウ………………!」


 その色気の篭った声で呼ばれた俺は、その唇を奪った。途端、カレンの唇から何かがあふれ出てきて、俺の喉を通った。

 次の瞬間、俺の意識は沈んでいく。


 最後に見たのは、真っ赤になるカレンの姿と、物凄く悪い笑みを浮かべたクルスさんだった。


(くそ!駄目なのに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・嬉しいと感じる・・・・・!!)

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World a king~異世界転生譚~ 抹茶 @bakauke16

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