第11話 現代版〜アリとキリギリス?

「さてぇ、今日はどんな昔話が良いかなぁ…?なるほど、なるほど…ふむふむ、ハッピータンになれるようにアレンジして欲しいねぇ?なるほど、実に面白い。では、その願いを叶えましょう?」

それでは、今日の物語は「アリとキリギリス」にしましょう?」

ほらぁ、ほらぁ、始まりますよぉ。

ポップコーンとコーラの準備は大丈夫?

「はい!」

あらぁ、有難うございます。

トイレには行って来ました?

「大丈夫です。」

では、始まり、始まり…


20××年

「はぁ、最近は、生きづらい世の中だなぁ?」と仲の良い高校生のカップルがため息交じりに話しを始めた。

「そう言えば、高校を卒業したらどうするのぉ?」っと、有岡 美紀が話を始めた。

「俺かぁ…。俺は国際芸術大学を受験しようと思っているけど…」と霧丘 哲馬が言った。

「そうなんだぁ…。私の家はお金もないから、地道に働かなきゃならないなぁ…。お父さんがリストラにあったから…」

「そっか…。何かぁ、寂しくなるなぁ…。お前なら頭も良いから就職するのはもったいないなぁ…って思うなぁ。」

「そうかなぁ。でも、私なんてぇ…何の才能もないからダメだよぉ。」

「おいおい、それは後で後悔するって…言っているように聞こえるけどなぁ?」

「でも、現実に今はお金がないんだから…しょうがないわよぉ。」

「なるほどなぁ…。そうだよなぁ…現実を直視しないとダメだよなぁ。あぁ、そうそう、もし、今、目の前にお金があって、何でも出来ると言われたら何をしたい?」

「そんなの無理に決まってるじゃない。」

「おい、恥ずかしがる事ないだろう?こっそり教えて欲しいなぁ?」

「誰にも言わないで欲しいけど…看護士さんになれたらうれしいなぁ…って。」

「そっか…。解った。俺がその夢叶えてやるなぁ。」

「有難う。そんな事言ってくれただけでもうれしいなぁ。」

「バァかぁ。当たり前だろう。有岡は今は蟻かも知れないけど…きっと羽ばたく時が来るからなぁ。」

「有難う。霧丘もキリギリスのようにバイオリンばかり弾いていて、自惚れたら凍え死ぬから気をつけてねぇ?」

「待てぇ!有岡!」

「もぅ。冗談よぉ。私は信じているから、一流のピアニストになって世界で活躍する姿を…」

「有岡…」


「何か懐かしいねぇ?ここでファーストキスを奪われたんだっけ?」

「そうだったけぇ…。忘れたなぁ。」

「そんなぁ…。」

「冗談だよぉ。忘れるわけないだろう。」

「そう言えば、ビックリしたなぁ。アイドルのオーディションに霧丘が私に変わって応募していたなんてぇ?」

「あぁ…ごめんなぁ。なんとか夢を描いて欲しかったからさぁ。」

「有難う。それに、大学受験の前に最終選考まで残った事を話したら、すぐに飛んで来て、私の両親を説得してくれて、うれしかったなぁ。」

「いやぁ、有岡の夢の一歩を開きたいと純粋に思っただけだよぉ。」

「でも、そのおかげで百合ケ丘48のメンバーになれてなおかつデビュー曲のセンターになれました。本当に有難うねぇ?」

「俺も、有岡のアイドルの活動に刺激を受けて国際芸術大学のバイオリン課に入学出来たよぉ。必死だったなぁ。」

「そうねぇ?お互いに必死でしたねぇ?」

「それにしても、霧丘は海外のコンテストで毎回、優勝するってすごいよねぇ?」

「そうかなぁ。ただ、有岡と紅白歌合戦に出たかっただけなんだけど…。」

「そうねぇ?あれから、3年だねぇ?一緒の舞台に立って霧丘のバイオリンで百合ケ丘48が歌を歌ったんだよねぇ?」

「そうだったなぁ。あの後、アイドルを卒業して女優になるとはなぁ。」

「ビックリしたでしょ?」

「そりゃ、ビックリしたよぉ。まさかなぁ、ナースの服をきてテレビに出るとは正直、思わなかったから、正直、夢が別の形で達成したと思ったら、涙が止まらなかったよぉ。だから、最初は涙を流して見れなかったよぉ。でもなぁ、ダビングしておいたから、何度も見たよぉ。「はい、注射の時間ですよぉ。ズッキュン!」がたまらないよなぁ。」

「もぅ、バカァ。あのセリフは今でも恥ずかしいだからねぇ。」

「ズッキュン!撃たれたぁ。」

「もぅ!」

「ポンポン、俺はそのセリフ好きだぞぉ。」

「バシィ、もう一回おしおきだぁ。もぅ、よけるなぁ。いたぁ。躓いたじゃない。」

「ほらぁ、大丈夫かぁ?痛いの痛いの痛くなれ!」

「あぁ、有難う。ちょっと、本当に痛くなったじゃないのぉ。」

「ほらぁ。乗れって?」

「恥ずかしいなぁ…でも、霧丘の背中って…癒やされるなぁ。」

「あぁ、何か言ったかぁ?」

「うぅ~ん。何も…」

「そう言えばさぁ…。有岡に言いたい事があるんだけど…」

「えぇ?何?」

「ちょっと、降ろすよぉ。」

「チュ。」

「突然、何をするのよぉ。ビックリしたじゃない…」

「俺さぁ…お前がトロくて、一生懸命で、ダサくて…なんてぇ…言えば良いのかなぁ…。ほっとけなくて…」

「あぁ…もう、霧丘は…自信過剰なくせに肝心なところ自信がないんだからぁ…」

「有岡!すまない。こんな俺だけど…俺と結婚して欲しい。」

「えぇ!!…もちろんよぉ。チュ。」

「俺が幸せにするなぁ?」

「だめよぉ!一緒に幸せになるんだから?」




はい、カット!

お疲れ様でした。



さてぇ、皆さんの想像した「アリとキリギリス」ではなかったかもしれませんが…もしかして、こんなハッピーエンドが見たかったと思えたら幸いです。


続きはみんなの夢の中で…めでたし。めでたし。



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昔話のさらに未来の物語 末吉 達也 @yasu8376

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