第10話 現代版〜ジャックの豆の木?

久しぶりに昔話を現代版にアレジしてみよう。

今の世の中で昔話が成立するのかなぁ?

では、早速覗いてみよう。

さぁ、早く、早く、始まるわよぉ。

では「ジャックと豆の木」の始まり、始まり…


20××年

ここはとあるのどかなや田舎町。

いやぁ、のどかを超えて何もない村と言った方が良いかなぁ。

牧草地と山が続いており、そうそう東京駅から東北新幹線で1時間程走ると見えてくる風景を思い出すと解りやすいかなぁ?

「シューン!カンカン…トンネル。シューン!カンカン…田んぼ。シューン!カンカン…山!山!田んぼ、田んぼ、田んぼ…おぉ!民家…田んぼ。」って感じだなぁ。

とはいえ、これでも、高度成長期前には石炭の採掘で、活気があり、街に一つだけある駅前は週末になると人が多かったらしい。

駅前には商店街や映画館など娯楽施設もあったというからビックリするけど…。

しかし、今は、駅前はシャッター通りになってしまって…挙げ句の果てには未知のウイルスが蔓延してしまい大変な世の中になってしまった。

しかし、過疎化率60%となってしまったこの地域は幸い未知のウイルスとは無縁であった。

「えぇ!どうしてって?」

何故ならご近所さんはいないのだからねぇ…

1番近い、お店までは車で5キロ、山道を下って行かなければならず、時々、イノシシやらタヌキに遭遇してしまう。

しかし、最悪なのは、1番近いお店である「坂下商店」(看板が剥げているので正式名は未だに解らず)は婆さん1人で経営してる為に開いているのか?が着いてみないと解らないのであった。

たいてい、雨の日などは休みの確率は高いのであるが…

とはいえ、近くには小学校があったり、村役場などがある為に婆さんの店は村にはなくてはならないのであった。

「えぇ?なぜここにいるかって?」

それは…話すと長くなるのでサクッと話すけど中学を卒業して、実家から離れた高校に入り寮生活。

ここまではありふれた話になるけどその高校が甲子園の常連校であった。

実家の牧場で小さい頃から働いていたので気付いたら高校生には見えない体格になっていた。

入学と共に野球部からの勧誘を受けて入っていたのであった。

しかし、運が良いのか悪いのか?甲子園に30年振りに出場してしまい、気付けば東京にある大学に進学したのだった。

その後は怪我に悩まされて止むなく野球を辞めてサラリーマンの人生を歩んだという訳なのであった。

とはいえ、野球しかやってこなかった事もあり、都会には馴染まず都会の人混みや会社の付き合いなどで嫌気がさしていた。

そんな時に一本の電話が入った。「親父が倒れた。」との連絡が。

早速、荷物をまとめて退職願いを出して実家に戻ったのだぁ!

「よっしゃ!田舎暮らしだぁ!」と喜んだのも束の間であった。

実家の牧場は経営は火の車であった。

その為、700頭いる牛は半分近く売りに出す事によりなんとか維持をしていた。


幸い、母親の弟が経営の舵取りをしているので助かっているけど…どうなるか解らない為に今は修行の毎日であった。

「おい!ジャック。ちなみに本名は翔馬(ヒョウマ)というが…」

「おじさん、ちょっと、ちょっと、ジャックって…」

「しょうがないだろう…最近、パイレーツ・オブ・カリビアンを見てなぁ。ジャック・スパーロ?だっけ、あの海賊が気にいってなぁ。近くに、呼べる相手もいないからさぁ。」

「おじさん、それって、寂しくないですか?」

「おいおい、それを言うなって…しばらくの間、付き合ってくれよぉ。」

「はい、はい、解りましたよぉ。」

「あぁ、そうだぁ。牛に牧草を与えてくれないかい?」

「はい。」

「じゃ、頼んだよぉ。ジャック。」


「ちょっと、あんたぁ。ヒョウマに甘くないかい?あんたが亡くなったら、この牧場を経営するのはヒョウマ何だからそろそろ、経営のイロハを教えないと。」

「そうだなぁ。今度、牛を連れてセリに連れて行くよぉ。」

「頼んだわよぉ。」

「それにしても、怒った顔もかわいいなぁ。」

「もぅ、朝からちょっと…」

「大丈夫だって、まだジャックは来やしねぇ…から。」


「おじさん、おぉ、どうした?まだ、終わってないだろう?」

「車の鍵を貸してくれなきゃ?」

「あぁ…そうだったなぁ。ごめん、ごめん。」

「いやぁ、ビックリしたなぁ。危なぁ。」


しばらくして…

「おじさん。」

「おぉ、終わったかぁ?」

「やっと終わったけど…350頭もいるとエサやりだけでも重労働だなぁ。もう少し、売る訳にはいかないかなぁ。」

「だよなぁ。肉牛なら高く売れるけど…乳牛は高く売れなくてなぁ。何か、パッと何だなぁ。儲かる方法があれば良いのだけだけどなぁ。そうだぁ。以前、付き添いでセリに行ったよなぁ。悪いけど乳牛を1頭売って来てもらっても良いかぁ?値段は任せるから初舞台だと思って行ってきて欲しいなぁ?」

「えぇ?本当に?」

「もちろんだよぉ。じゃ、頼んだよぉ。」


「なぁ、もう1度続きを楽しもう。しばらくは帰って来ないからさぁ。」

「もう、あなたったら…でも、解っているわよねぇ?」

「もちろんだよぉ。帰って来たら、ビィトンのバッグ買ってやるからなぁ。任せておけって。」

「落ち着いたら、保険金も頼むわよぉ。」

「大丈夫だよぉ。しばらくの辛抱だよぉ。」


「あぁ、それにしても、おじさんは父親の後を継いでいるけど…母親を老人ホームに入れて経営は大丈夫なのかなぁ。働いている様子は見られないし、最近は若い奥さんと贅沢してるけどなぁ。とはいえ、牧場が起動にのるまでの辛抱だなぁ。それにしても、競り場はこんなに遠かったかなぁ…参ったな道に迷ったなぁ。あのぅ、すいません、競り場はこの辺にありませんか?」

「あぁ、競り場ねぇ?若いのぉ。反対だぞぉ。でもよぉ。もう、日が落ちるから明日の朝にした方が良いじゃないかぁ?この先はホテルも民宿もないから、泊めてやるよぉ。」

「良いんですか?宿泊代ぐらい出しますよぉ。」

「良いって事よぉ。まぁ、上がって、上がって。」

「では、お言葉に甘えて。すいません、電話をお借り出来ないですか?」

「電話かぁ…ごめんなぁ。先週の台風でこの辺の電気が止まってしまってなぁ。電話はまだ、不通何だよぉ。」

「あぁ、そうなんですかぁ。」

「まぁ、遠慮しないで、ほらぁ、入って、入って。」

「あぁ、有難うございます。」

「今は、ここなんだけど、ここの道を左に曲がって道を下れば、大通りに出るから。帰りは高速に乗れば大丈夫だからなぁ。」

「はい、有難うございます。何から何まで親切にして頂きまして。」

「いやぁ、良いって事よぉ。ところで、飯は食べたかぁ?」

「いやぁ、まだですけど。」

「そっかなら、あるもので大丈夫かぁ?」

「すいません。」

「ほらぁ、出来たぞぉ。親子丼だぁ。」

「有難うございます。美味しいです。」

「そっか。良かった。良かった。」

「あぁ、そうそう、風呂に入ってけよぉ。」

「いえいえ、初対面の人にここまでして頂いて申し訳ないですよぉ。今度、お礼をさせて頂きますから。」

「何、言ってるんだよぉ。水臭いなぁ。」

「それでは、遠慮なく。」

「疲れも吹っ飛ぶから、ゆっくりすると良いよぉ。」

「有難うございます。」


「いやぁ、最高でした。」

「いえいえ。どう致しまして。ほらぁ、風呂上がりにはこれだろ?一杯付き合ってくれないかぁ?」

「えぇ?良いんですか?」

「もちろんだよぉ。久しぶりにお客さんが来てくれてうれしいよぉ。こちらこそ、有難うなぁ。」

「おぉ、良いねぇ。ほらぁ、もう一杯。」

「有難うございます。少し、酔ってきたみたいです。」

「そっか、そっか。布団は敷いておいたから横になりなぁ。」

「有難うございます。では、失礼致します。」


(翌朝)

「コケコッコ!」

「やばぁ、寝過ごした。えぇ?何で、牧場で寝ているんだぁ。戻って来ている。おかしいなぁ。」

「何だぁ。この紙は…」

「なになに…昨日はゆっくり出来ましたかぁ。久しぶりのお客様をおもてなし出来て楽しかったよぉ。有難うなぁ。でもなぁ。見ず知らずの人を信用してはいけないなぁ。勉強料として牛を1頭もらっていくなぁ。とはいえ、ただとは言わないさぁ。ここにある豆を3粒上げるから大事に育てなぁ。では、また会おう。」


「ちょっと、あんた、ジャックがいるわよぉ。」

「えぇ?ジャック、おまえは牛を売りに行って何処まで行っていたんだよぉ。電話ぐらい寄こさないで心配しただろう。」

「あぁ、すいません。うっかりしてまして。」

「まぁ、いいやぁ。ところで牛は売れたかぁ?30万かぁ?それとも、これかぁ?50万かぁ?」

「実は…これになりました。」

「はぁ、何だぁ。豆って…。」

「あんたぁ。牛を売って豪遊していたのよぉ。」

「違いますよぉ。本当にこれになったんですよぉ。」

「ふざけないで。豆になったって!冗談を言ってないで正直に謝れば良いのに。」

「バシィ!ジャック、ふざけるなぁ。遊びで行かせた訳じゃないだぞぉ。」

「何するんだよぉ。父親にも殴られた事がないのに!」

「はぁ?殴られたぐらいで怒るんじゃねぇ!逆の立場で考えたら、どうしたら納得いくんだぁ。反省するまで、牛小屋の清掃と餌やりを任せる。1ヶ月だぁ。悪く思うなよぉ。」

「もう、あなた、そこまでしなくても良いじゃない。」

「いやぁ、駄目だぁ。素直に謝れば許してやったのに…デマカセな嘘をついたジャックが悪い。」 

「だから、本当なんだって…」

「テメェ、まだ、そんな嘘をつくのかよぉ!」

「ちょっと、ジャック謝りなさい。」

「本当なんだって…。」

「あぁ、もう嫌ぁ。こんな豆、こうよぉ。」



内心では

「ちょっと、何をするんだよぉ。貴重な豆を2つも投げる事ないのに…」

「ちょっと、何するのよぉ。はぁ、テメェがいけないんだろぉ。オラァ、テメェもだよぉ。おじさんだか知らねぇ…けどよぉ。前から腹がたっていたんだよぉ。仕事しねぇで○○しているのも知っているんだよぉ。母親を老人ホームに入れて呑気に豪遊してるんじゃねぇ!お前達こそ出ていけ!!」

「なぁ、ジャック悪かったよぉ。許せって。はぁ?許せ?許して下さいだろうがぁ。ほらぁ、お前はどうするんだぁ?水商売で稼いで来るかぁ?」

「すいません。すいません。ジャック様。」

「後よぉ。これは何だよぉ。保険金を俺にかけようと企んでいたよなぁ!」

「それはぁ…」

「このクソあま、許さねぇ!」

「痛いって!何でもするから許して下さい。」

「よしぃ。何でもするなぁ。なら、俺の嫁になれ!」

「解ったわよぉ。」

「そんな…」

「前からおまえに惚れていたんだよぉ。」

「ほらぁ、お前は用済み何だよぉ。」

と言いたかったが…素直に謝って穏便に済んだのであった。


翌日になるとおじさん達の怒りも収まりいつも通りになっていた。

「ごめんなぁ。ジャック。」

「あたしも少し言い過ぎたみたいで…ごめんなさい。たまには、豪遊ぐらいしたい年ごろよねぇ?今度、試してみる?」

「マジですかぁ?お願いします。」

「ちょっと、ちょっと、冗談よぉ。」

「約束ですよぉ。スタミナなら大丈夫ですから。」

「おい!ジャック、次はないぞぉ。」

「なら、良い娘、紹介して下さいよぉ。本当に襲っちゃいますからねぇ!」

「おい!マジになっているじゃないかぁ!」

「ごめん、ごめん。牛に餌を上げて来ます。痛ぁ。もう、誰よぉ。家の前に材木なんてぇ置いて躓くじゃない。あれぇ、えぇ?えぇ!何これ、豆の木じゃない!

すごい!すごい!これはインスタにフェスにツイタァーにユーチューブに挙げなきゃなぁ。ちょっと、みんな来て、来て!すごいわよぉ。」

「何を驚いているんだよぉ。美紀?」

「えぇ?あれぇって、本当何だぁ。何だぁ。豆の木?何処まで伸びているんだぁ。ジャック、昨日は殴ってしまってごめんなぁ。」

「いやいや、こんなに成長が早い豆の木とは聞いていないから…寧ろ、ごめん。」

「せっかくだから、みんなで写真撮りましょう。カシャ!インスタとフェスとツイタァーに投稿しました。パチパチ。」

「あぁ、すごい、見てみて。イイネ!一瞬で1000も来ちゃった。」



一方その頃

「今、マスコミ各社に「1夜に天界に続く豆の木が出来て、マジィすごいちゃ!もぅ〜ビックリだわん。北海道桜ヶ丘牧場」の動画が送られてきました。



臨時ニュースです。

「本日、7時40分に突如、天高く豆の木が北海道某所にある牧場で伸びました。」

「はぁ?何だぁ。この臨時ニュース?フェイクニュースじゃないのぉ。あり得ないでしょ?」

「あれぇ、急にテレビの画面が切り替わったぞぉ。」

「嘘?本当だぁ。」

「この動画は何だぁ。すごいなぁ。」


「見て下さい。何とぉ、一夜にして、巨大な豆の木が伸びた現場に来ております。ひと目見ようと渋滞が起きております。私達は今回は渋滞を避けてヘリコプターよりお届けしております。」

「あのぉ、すいません。こちらの方ですか?」

「はい、そうですけど…」

「少し、取材をしても大丈夫ですか?」

「まぁ、少しぐらいなら…」

「有難うございます。まずは、こちらの豆の木の種はどちらから?」

「ちょっと、あんたが持ってきたんだから、あなたが受けなさいよぉ。」

「えぇ?そんな…」

「という事はあなたがこの豆の木の種をもらったのですか?」

「そうなんです。」

「詳しく教えて頂いても宜しいですか?」

「はい。」

「なるほど、なるほど。という事は牛を売りに行こうとしたところ、見知らぬ男性に親切にして頂いて気づいたら牛は居なくなっており、こちらのメモと種を置いていった。なるほど…牛を売ってきたと思ったら、豆の木の種に変えられてたので、怒ったご主人の奥様が家の外に豆の木の種を2粒投げたという事ですねぇ?」

「まぁ、そんな感じですねぇ…。」

「なるほど、それにしてもビックリしましたよねぇ?」

「そうですねぇ。ビックリしましたよぉ。」

「ですよねぇ。それで、SNSで投稿したんですねぇ?」

「そうです。桜ヶ丘牧場のPRになれば最高なんですけど…」

その後もひっきりなしにマスコミが取材に来たりと久しぶりに街にも活気が出てきたのであった。


今まで、売れなかった牛乳も大きな企業との提携を受けて「ジャックの豆の木牧場〜天使の雫」として

売り出すと今年のトレンドランキング1位となったのであった。

その後、勢いは止まらず牧場も5倍の広さまで広がり、牛乳、チーズ、ヨーグルトとメニューも広がりパン屋やカフェ、ホテルと立ち並び、避暑地として有名になったのであった。

オリンピック景気のおかげもあり、ジャックの豆の木でクライミングをする人やジャックの豆の木の途中でバンジージャンプをする人がいたりとアミューズメントパークとして大手のゲームメーカーとインターネット会社とのレンタル契約が決まったのであった。

最近では、大手のスーパーマーケットや野球場やサッカー場も近く出来ると過疎化した地域が発展し

近くには飛行場や新幹線の駅、私鉄の駅、国立大学の農学部との提携、有名私大の生物工学部との提携なども出来てジャックの豆の木学園キャンパスが拡がっているのであった。

ジャックの豆の木景気で過疎化した街が発展したのであった。めでたし、めでたしとします?

まだ、気になるねぇ?

えぇ?ジャック達はどうなったてぇ?


「ジャックの豆の木乳業株式会社の会長、ジャックの豆の木学園キャンパス理事長、ジャックの豆の木アミューズメントパーク社長になったらしい。」


あぁ、そういえば…ジャックの豆の木の先端は…気になるねぇ?

実は…国際宇宙センターと繋がっているらしいとか?巨人が住んでいるとか…巨人が降りてきて〇〇ハンバーグのCMに出てきたなどなどかなぁ?

まぁ、どうなったのかなぁ?知ってます?

おっと、そういえば、

残ったジャックの豆の木の種はどうなったって気になるねぇ?

厳重にエリア51に保管されているとか…どうなのかなぁ。真実は闇の中…。


「めでたし、めでたし。」


「終わり」








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