第7話 この話は、フィクションです

いつの時代のことであったろうか。

あるところに、一人の人間がいた。

特に、何の能力があるわけではない。

ただの、無名の人間がいた。

たまたま、その時代に、英語の学習アプリというものが、存在していた。

その人間は、英語アプリで学習を始めた。

努力家というわけではない。

過去に、さまざまな英語学習法を試しては、挫折を繰り返してきた。

たまたま、その時代に、ある団体が、寄付を呼びかけていた。

その人間は、毎日、100円のコーヒーを飲むことを楽しみにしていた。

お金なんて、なかった。

慈善事業に差し出す、お金なんて、なかった。

たまたま、英語を勉強して、勉強した日数分だけ寄付をしたら、英語学習を挫折せずに続けられるかもしれない。

その人間は、毎日、コーヒーを飲むかわりに、毎日、英語アプリを使い、お金を寄付した。

すべては、自分のため。

だから、別に、誰かの模範や、お手本になる生き方ではない。

だって、誰もがコーヒーを飲むことを止めてしまったら、世界は寂しくなるだろうから。

その人間は、一人で、英語アプリに取り組み、一人で寄付をした。

もしも、その人間が、有名人であったなら、別の人が、代わって寄付をしてくれたかもしれない。

そうしたら、その人間は、英語アプリに取り組みながら、100円のコーヒーを、毎日飲む生活ができたかもしれない。

けれども、無名の人間は、無名の人間だった。

その人間は、自分の無名さを知っていた。

その時代に、Twitterというものがあった。

たまたま、その人間は、Twitterアカウントを持っていた。

だから、自分が、英語アプリに取り組んでいること、学習した日数分の寄付をしていることを、ツイートで流していた。

寄付を呼びかけていたわけではない。

自分の英語学習を継続するための手段として、利用していた。

英語学習のモチベーションとして、誰かを救うため、と宣言すれば、挫折しないかもしれない。

その人間は、つまり、そういうことを考えて、行動している人間であった。

だから、子どもたちは、お手本にしなくてよろしい。

無名の人間が、その後、どうなったのか?

残念ながら、字数が尽きた。

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夢のかんたん英語学習 しんのりんご @shinno_ringo

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