黄昏のエルメリア ファブラサルス
梶倉テイク
軍事国家ファブラサルス
概要
国名:ファブラサルス
首都:レイアーワース
国家元首:イルデイズ・フォン・ウィルトール
10年ほど前に興った大陸南部に位置する巨大な軍事国家。
元々は大陸南端に位置する小国であったが、革命を機に周辺国家を瞬く間に呑み込み軍事大国として成立した。
現在は、大陸中にその動向を警戒されるほどの巨大軍事大国である。
多数の国を征服したため領土は広く、多くの文化をそのまま取り込んだことで、多種多様、様々なそのままの形で文化が息づいている。
特にファブラサルスの中心たる首都「レイアーワース」には、文化も人も物も集まるため、混沌めいた様相を呈している。
初めて訪れた者はその異国情緒あふれる様に目を見張るだろう。
数年前までは侵略戦争を繰り返していたが近年は、不気味なほどに沈黙を貫いている。
その理由は、2つ。
1つは、周辺国家に治世の悪い国がなくなったから。
ファブラサルスが巨大軍事国家として成立した背景には、ロストを神と崇めるリーアルなどといった他所から見れば治世の悪い国へ侵攻し、悪逆非道の王を倒すことで英雄視され統治の受け入れを整えたというものがある。
現在は近隣に治世の悪い国がなくなったがゆえにその侵攻をやめているのもあるというのが理由の一つ。
もう1つの理由は、常闇の領域という人類の敵の本拠への侵攻を考えているからである。
およそ人間では生きたまま探索することはほぼ不可能な未踏破領域を人類の手に取り戻す為、今は牙を研いでいる。
また、小国のままではできなかった国交も今ではできるようになったので、戦争をやる時期では無いということもある。
征服した国一覧
「支配王軍エイワットワース」
「神聖領域リーアル」
「金山財国ブリガスティン」
「魔鳥の国」
「苛虐水圏エターニア」
年表
10年前 ファブラサルス建国
9年前 金山財国ブリガスティンと戦争併合
7年前 神聖領域リーアルとの全面戦争
5年前 神聖領域リーアルとの戦争終結
4年前 親衛隊序列11位失踪
3年前 魔鳥の国と戦争・併合
2年前 苛虐水圏エターニアと戦争・併合
国家元首
・イルデイズ・フォン・ウィルトール
軍事大国ファブラサルス初代総統。
女性でありながら、その強さとカリスマで以て大陸南部を征服した生ける伝説。
公明正大ではあるがなによりも戦争愛好家であり、闘争をこよなく愛する。
不満があるならば、とことん殺しあうなど過激な一面もあるが、治世の悪い国を征服していく姿はまさしく英雄である。
ふたなり。
軍事
・逆十字軍
ファブラサルスに設置された軍隊。
7つの軍からなり、それぞれを上級大将が任されている。
7人の上級大将の上には3人の最上位大将が存在しており、その上はただ1人の総統が全軍の指揮を執る。
国家間の戦争は勿論のこと、ロストとの戦闘も行う国民にとっての盾であり剣。
強大にして精強であることは周辺諸国に知れ渡っており、戦争の抑止力としても機能している。
また存在しない筈の8つ目の軍隊が存在しているとまことしやかにささやかれている。
最上位大将
軍一覧(決定しているもののみ)
・新技術考案試験部隊――
上級大将:アデリナ・ヴァイデンライヒ
強化手術や改造手術による肉体改造や義体化など、医工学よりの技術部隊。
武装などの兵器を考案するよりは薬物や改造手術の術式などを考案する。
そして、それを実際に施し、最前線で試験するのがこのドゥーベである。
・殲滅異形部隊――
上級大将:リリルナ・バロット
ロストとトワイライトで編成されており、戦場においてはシンプルに敵の殲滅を目的として動く部隊。本陣の防衛も任されることがあるが、それはごくまれである。
アデリナから武器である改造した死体の提供を受けており、凶悪さに拍車がかかっている。
・犯罪者統括前線部隊――
上級大将:ザッハーク・アサーティール・イ=ラプセル
元イ=ラプセル国民、特に元アサーティール盗賊団を主として構成される戦闘部隊。
特性上、国内の犯罪者なども隊員として内包しており、血の気が多く粗暴な者が多い。
隊長であるザッハークの教育により「総統のために戦って死ぬことこそ誉れ」と教えこまれている
前線異種歩騎兵部隊――
上級大将:
繋争医療部隊――
上級大将:モルガ=L=ハートリーフ
上級大将:アイザック・ヴォルティス
最終防衛部隊――
上級大将:劉辰
・ヴェロシャポ
ベロヒテン・シャッテンポリツァイ。
国家の秘密警察であり、逆十字軍の保安を務める組織であり、その長官は各軍を率いる上級大将と同等の階級と権限を持っている。
国内に出現したロストと戦闘を行うこともあるため、決して保安だけに努める組織ではない。
ヴェルシャポ長官:霧過・グランツ・キルヒアイゼン:
・武装親衛隊
総統直属の武装親衛隊。
逆十字軍において、唯一最上位大将が命令権を持たない独立部隊。
総統の私兵。
中でも優秀な12人には序列とともに魔名が与えられる。
親衛隊一覧
イルデイズ 【
序列第Ⅰ位 【
序列第Ⅱ位 【
序列第Ⅲ位 【
序列第Ⅳ位 【
序列第Ⅴ位 【
序列第Ⅵ位 【
序列第Ⅶ位 【
序列第Ⅷ位 【
序列第Ⅸ位 【
序列第Ⅹ位 【
序列第Ⅺ位 【
序列第Ⅻ位 【
序列第ⅩⅢ位 【
・アルパライン
7年前に劉辰により建造された国外縁に存在する対ロスト及び外敵を想定し築き上げられた特殊な要塞線。
文字通り国の生命線である。
政治
・貴族院
あらゆるすべての決定権は総統が持つものの、政治を行う政治屋もファブラサルスには存在している。
それが貴族院。ファブラサルスに占領された、貴族制度が主体だった国々の王族がまとめる組織である。
反乱分子のようでいて、その実、上層部が熱狂的な総統支持者であるため、実質傀儡である。
元エイワットワースの筆頭貴族であった「フランデール姫」は、現在の貴族院の実質トップの1人である。
用語
・シュテルン
ファブラサルスにおけるクオリアの別称。
ファブラサルスにおいては、クオリアを使うものを「騎士」ではなく「兵士」として扱う。
基本として、兵士たちはシュテルンを腰に付けた装飾短剣にはめ込んでいる。
・トラバント
人工シュテルン。シュテルンを素体として製造され、その性質を再現した複合物質。
ファブラサルスにおける軍用技術の結晶。一般的なシュテルンに比べ、性能は劣る。
人の思念に応じ、自由に変形をさせることも可能。
ただし、使用に際し、ポラス以上に強い副作用が伴う。
・ポラス
シュテルンの一種であり、非常に希少。シュテルンよりも強力な業を行使することが可能とする。
しかし、その使用には副作用――揺り返しが伴う。また、業の発動には祝詞を呼ばれる詠唱が必要となる。
常闇の領域で採掘される希少シュテルン。極度の絶望に染められている。
極度の絶望に染まっているポラスを己の色に染め上げることのできる人間のみがポラスを使用することができる。
そのため他人のポラスを染め上げることができれば使用することが可能。
・ノーヴァ
愛の業の出力を上げる特異なシュテルン。シュテルンを純化精製することにより造られる。
これを使えば愛の業は各段に強化される。だが――その反動もまた莫大なものになる。
愛の業の出力を数倍にするが、反動は数百倍ほどになる。諸刃の剣。
現状、アデリナ・ヴァイデンライヒの眼孔に収められた2つのみ。
・
ファブラサルスにおける剣の業。ファブラサルスでは、剣の業のことを愛と呼ぶがゆえに愛の業。
クオリアのエネルギーは感情。
異能を生み出すその感情はことさら強い感情に違いなく、故にそれをファブラサルスでは『愛』と呼ぶ。
他の誰でもない、自分だけの愛の形を示す業こそが愛の業。
シュテルン、あるいはポラスに自らの中にある譲れぬ思いや成し遂げたいという信念、貫く意志、願う心、焦がれる夢を流し込み異能として昇華させる。
健常な体を夢見病弱な者は、誰にも負けない強靭な体を手に入れる。
決して諦めぬ心を持った者は、何者にも曲げられない槍を形成する。
消えぬ憎悪があるならば、消えぬ焔を生むだろう。
誰かになりたいと思ったのならば、そのようになる。
だが、その願いが歪み、異能となることがある。
例えば、総統の為になりたいという思いで愛の業を行使した場合、総統の敵を皆殺しにする異能が発現する可能性もある。
※ぶっちゃけ創作者の匙加減次第。
・祝詞
詠唱。○○たれ、○○の○○。○○愛を我らと示せ――の定型文から開始されるポラス使用時に必要となる愛の言語化。
自らの愛や強力な思いをポラスに流しやすくするためのもの。
長さなどは個人個人に差があり、単語のみであったり、長々と詠唱する場合もある。
能力・術理
・イルデイズ・フォン・ウィルトール
プラズマを生成・操作する能力。
オーロラに酷似した光を剣に纏わせて斬撃と共に飛ばす。
触れたものを強制的に分解する滅相の光を扱う。
だが、それらは「太陽風」と呼ばれる彼女の能力の一端に過ぎない。
彼女の真の能力は「核融合」。太陽と呼ばれる超エネルギー。
満開の花を咲かせる光の力。
だが、過ぎた光は花を全て燃やし尽くしてしまう。
それでも彼女は止まらない。
常闇を照らすその日を夢見ている。
祝詞
絢爛たれ、揺蕩う赤の薔薇。微睡む愛を我らと示せ――
私は恒星。硝煙を纏う愛の星。抱いたものは勇気への賛美。
望むものは万物を燃やす滅相の光
死に絶えろ。ただ安らかに骸と化せ
その死を以って至高であると唄わせてくれ
生の終わりに咲く花は、何よりも美しい事を知っている
輝く死に花
血染めの花園
さあ、狂い哭くがいい
・瞋恚の炎
スルトが行使する愛の業。いついかなる時も彼を焦がし続ける
その能力は「使用者が抱く憎悪を糧に燃焼する嚇炎を放つ」というもの。
即ち瞋恚の炎に他ならない。
彼の怨嗟が渦巻く限り、その炎は、業を解かぬ限り永劫、消えることはない。
憎しみの深度により火力が上下する。
副作用として42時間、業火に焼かれるかのような激痛を味わう。
祝詞
永劫たれ我が残火、価値なき
呪毒滴る怒りの熱鉄、打ち鍛えるは謡い讃える冥界門
殺せ、殺せ。
鏖殺の嚇怒が刃と成りて夜魔の狂気を血に汚す
さらば、眩き日々の残滓らよ
瞋恚の炎に燃ゆるまま、怨嗟の詩を刻むがいい
来たれ、絶滅の復讐譚
第九の鍵は今解かれん
――
・人工骨格駆動兵器
スルトが受けた叡智貪狼による戦闘用義体化手術における最大の恩恵。
全骨格の70%を人工シュテルン「トラバント」に換装することでポラスに迫る出力を得ている。
彼の意志で自由自在に変形する剣となり、右腕部から噴出するように展開される。
また攻撃だけでなく防御にも利用されており、攻防一体の武装である。
・
謳い讃える嗜虐無情――ローゼリアス・アルビレオの右目に義眼として嵌め込まれたポラスを用いて発動する愛の業。
いついかなる時もかれを突き動かし続ける祝福の発現。
それは「己が憧憬を抱くに値する存在を、より輝かせんがために強化し続ける」という極めて限定的な支援能力である。
彼が尊敬を抱く、強い理想や信念、揺るぎない思いを掲げる人間に対し過剰な憧憬を抱く対象に能力を発動させる限り、持続的に身体能力や愛の業の出力向上など、対象を単純に強くし続ける。
また、彼本人も無意識ながら能力を発動する際、「眩き者」の輝きに同調することで、自身の強化をも行い続けている。
その反動は「感情の希薄化」。ローゼリアスの感情は、徐々に失われていく。
祝詞
諧謔たれ我が憧憬、眩き
では、謳え
この黄昏を前にして、涙を流し頭を垂れて祝うがいい
然らば彼の如き眩きは、宵闇溢れる地平を貫き、無上の劫火を放つだろう
喝采を。喝采を。
諸手を上げて、天を仰ぎ、愛しき全てに慟哭を
来たか――黄金の英雄譚。
第九の海は満ち足りた
“汝、この剣を持つに足りや――?”
――
・アデリナ・ヴァイデンライヒ
物質の分子・粒子の運動速度操作。
肉体に振れた物質の分子・粒子の運動速度を加速・減速させることにより温度を操作する愛の業。
武器である糸や部隊に手渡した手編みのマフラーに仕込まれた髪の毛を媒介にした空間の超高温化、超低温化攻撃はまさしく戦場を呑み込む魔狼の如し。
その極点は、総統の如き極光すら産むことが可能であるとされている。
総統への憧憬と役に立ちたいという思いのなせる愛の業であるが、その反動は、人間性の喪失と総統に関する記憶の消失である。
祝詞
盲目たれ畜生なる黒の向日葵、無上の愛を我らと示せ――
ああ、なんと愚かなのか
下賎なこの身で天上の太陽を喰らえると何故、私は信じたのか
彼女の剣は我が心臓を捉えた
我が身は太陽の光に焼かれて燃え堕ちたのだ
私は美しいものを見た
だから、卑しき私に貴女の靴を舐めることを赦してほしい
私はもうそれ以外を望まない
ただ貴女に跪き、貴女に仕え、貴女とともに在りたいだけなのだ
他には何もいらない
故に太陽に逆らう愚か者ども一切よ――ただ安らかに死に絶えろ
我が鎖、我が牙、我が存在こそがあまねく全てを喰らう
それこそが我が無上の愛
我が盲目は、太陽だけを見つめている!
黄昏のエルメリア ファブラサルス 梶倉テイク @takekiguouren
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