シンプルで奥が深い短編
- ★★★ Excellent!!!
シンプルで奥が深い短編です。
気軽にちょっと、というつもりで読み始めて、えらく感銘を受けました。
「なぐさめ」と「あきらめ」に関する洞察、抑制の効いた文章、印象的なエピローグ……。
誰もが「自分が自分であること」から逃れられず、苦い結末を予感しながらも、一つの結末に向かって進まざるを得ない。
お姫様、お菓子、小国と大国、といったごく見慣れた素材でこれほど魅力的な物語を描けるとは、羨ましい限りです。
単なるつくり話、単なる童話、単なるファンタジーではなくて、必然の歯車が回転することによって生み出される、動かしがたい「運命」を描いた作品のように思われます。