襲撃事件の真相6

「うぐぐっっ!!このぉ〜!!」


波状攻撃をしかけてくるアーガルド達の攻撃を受けるのが精一杯で、攻撃まで手が回らない少女勇者。

防戦一方では、いずれ敗北することは目に見えていた。


「もぉっ!!!超ムカつくっ!! 頭ぁキタ!!!調子乗んなしぃ!!!」

露出ギリギリのきわどい出で立ちまで着衣を切り刻まれたユウナが、怒りに体を震わせ叫ぶ。


植田まさしの描くコボちゃんパパの横顔のようなユウナの脳内メーカーで、上から落ちてきた『怒』の文字に埋め尽くされる。


   _____

  / 怒怒怒怒怒怒 \

  / 怒怒怒怒怒怒怒怒 ヽ

 |怒怒怒怒怒怒怒怒怒 |

 | 怒怒怒怒怒怒怒怒怒|

(_  怒怒怒怒怒怒怒怒|

(_   怒怒怒怒怒怒 ノ

   \     /

     ̄)___亅


それらの文字が4つ並ぶと、パズルゲームのように連結し消滅……そしてばよえ~んとばかりに7連コンボを決め、巨大な『殺』の文字に変わった。

 

   _____

  殺殺殺殺 殺殺殺殺

  /    殺 殺  殺 ヽ

 |殺殺殺殺 殺殺殺殺  |

 |          |

(_  殺殺殺殺殺   |

(_     殺   ノ

   \  殺殺 /

    殺)__殺殺

    

「……コロス……………………ヶ………」


腰を沈ませググッ低く重心を固定し、エクスカリバーを正面で横一文字に構える。

つま先からかかとまで均一に重心を分散させ、一切の体重移動を封印しその場に永く聳える石像のごとく身を低く構える。


攻撃を受け流し躱すことよりも、真正面から確実に受け止め凌ぎ切ることを優先した城塞のような守りの構え。

攻撃を何度も繰り出すことよりも、腰の入った必中の一撃を繰り出すことを優先した、カタパルトのような攻撃の型。


それは勇者の父ザックに、少年勇者が幼い頃より叩き込まれた一子相伝のザック流の構えだった。

死んでも生き返る事を考慮し、相打ちになっても確実に相手から一本を取ることを主とした構え…。


しかしユウナには、相打ちを狙うつもりは最初からさらさらなかった。

彼女の脳裏にあるのは、相手をぶっ殺しての勝利への一手のみ。


「はぁぁぁッッッッッ!!ナリッッ!!!!」

咆哮をあげ、ユウナが全身の魔力を一気に解放する。


「な、何だっっっ!!!??」

目の前の少女から溢れ出す桁違いの魔力の洪水に、狼狽えるアーガルド。


溢れ出しハリケーンのように渦を巻く魔力の中心で、ユウナが機械音のような発声の速さで聞きなれない呪文を詠唱する。



『『 ↑↑↓↓←→←→BA(上上下下左右左右ビーエー)っっ!!!! 』』



少女勇者が呪文を唱えた瞬間、少年から少女へ変化したときよりも激しい魔力の爆発がユウナの深層部で沸き起こった。

ユウナの『ギャル係数』が一気に跳ね上がり、ギャル値カウンターが計測不能で爆発するほどの数値まで上昇する。


「何かヤバい……!? 下がるんだ!アーガルドっ!!!」

突然の異変に危険を本能的に感じ取り、サイファーが咄嗟にアーガルドに指示を出す。


「え?何? よく聞こえなかったッス!もう一回言って貰ってもいいスか?」

それにバカみたいな顔で応え、サイファーの方をふり返るアーガルド。


「あ、ごめん。ウソウソ、何でもない」


『コイツに言っても無駄だな』と理解したサイファーがそうそうに見切りをつけ前言を撤回する。

そして、少女勇者の変化に脅威を感じ、距離を取ろうと後退しようとした時だった。




『『奥義・五七三権限(コナミコマンド)!!!!!』』




ユウナの声が、あたりに……いや、全世界に響き渡った。

そして次の瞬間、ユウナが『覚醒』したのであった。

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壁尻魔王とTS勇者〜復活するたび性転換しちゃう勇者と、魔界の穴に尻ハマった女魔王(40m級)〜 幸橋カモノハシ @chocokamotu

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