銀色の戦士(4)

「何だろう…この感覚…」

この禍々しい怪獣の前に立った時、不思議とも言える感覚…でもどっちにせよ嫌な空気なのは変わらない。

『会いたかったぜ…シルバーマン!!』

「喋った!?」

怪獣が喋るなんて!?そんなことあるのか!?

『お前は…ニルドグマ!!』

「シルバーマン!あいつは一体…」

『かつて他の星達を破壊したといわれる凶悪な怪獣だ。長年に渡って追い続けてたいたんだが、まさか地球で会うことになるとは…』



「銀色の戦士…また来てくれたんだ…」



『お前、随分変わったか?人間の小僧と一緒にいて情だの何だの移っちまったみてぇだな。』

『私はそんな情を移してくれた彼に感謝している。人間の感情を理解しないお前ごときに何が分かる!』

お互いに言い合っている。ここまで来るともう放ってはおけない!

「やろう!シルバーマン!」

『ああ!行くぞ!』

ズドン!ズドン!

『いいぜ…切り刻んで捨ててやるよ!!』

ジャキン!

ニルドグマが手の鎌を振りかざしてシルバーマンに襲いかかる。切れ味はかなりありそうだ。

『ぐあァ!!くっ…』

ジャキン!ジャキン!ジャキン!

『オラどうした!!さっきまでの威勢はハッタリか!?』

「シルバーマン!!」

体にかなりのダメージが!肉弾戦じゃ歯が立たない!

シュル…ジャキン!

『シルバーブレード!』

「剣を精製した…!?」

シルバーマンの腕から伸びた銀の塊は鋭い剣の形となった。

ガキンッ!!

『ハアッ!!』

ザシュ!!

『ぬぉ!?少しはやるじゃねぇかよ…!』

『私の力は衰えてなどいない!』

『そうかよ…じゃあ特大のモノをぶっぱなしてやろうじゃねぇか!!』

ギュウウウン……

ニルドグマが何かを溜め始めた…お腹の辺りで紫色のエネルギーが光始めている!

「何だ…!?」

『食らえ…俺の特大をなァ!!!』

ババババババババ!!!

『ぐっ…ぬぁぁぁぁぁぁ!!!』

「シルバーマーーーン!!!」

奴が放った光弾を避けきれず諸に受けてしまった……体力が激しく消耗されてるからなのか、僕の呼吸も息苦しくなってきた…

『ハッハッハ!!バカか!!まともに食らいやがったぜ!!』

シルバーマンは倒れこんだまま動かない。まだ生きてはいるが…こんな体力じゃもう…!




「立って!!「銀色の戦士」!!」




「ミカ…!?」

ミカは僕のアパートの屋上にいた…でも何であんなところに!?

「こんなとこで死んだら街はどうなるの!?私達の大切な街が壊されたら…どうすればいいの!?わがままかもしれない…でも今あの怪獣を止められるのはあなたしかいないの!!」

「ミカ……」

『あーうるせー娘だな。こっちにもしっかり聞こえてんだよ。』

ニルドグマはミカの方を向き、さっきの技を繰り出そうとまた溜め始めた…

「…!?」

「やめろーーーー!!!」

ガキン!!

『グハッ!!』

銀色の剣が奴の腹に深く突き刺さった。投げたのは、さっきまで倒れていたシルバーマンだった!

「シルバーマン!」

『ありがとうアキラ。君の声で目が覚めたよ。』

『テメェよくも…俺の娯楽の邪魔しやがって!!』

『人間に手を出した罪は重い…トドメだ!!』

あの時と同じ構えをとり、しばらく待機状態に入る…

『「シルバー……」』

『大人しく刻まれやがれぇぇぇぇぇ!!!』

『「ブラストーーーーーー!!!!」』

ピカァァァァァン!!!ズドォォォォン!!!

『クソ……俺が…こんな小僧に…』

シュゥゥゥン…

最後の言葉を残し、奴は消滅した。

「やったよシルバーマン!僕達、この街を二度も守ったんだ!」

『ああ。やはり一体化したのが君で良かった。』

でもこれで終わりじゃない。まだ僕達はずっとこの街を守らなきゃいけないという使命がある…


ー山道ー


『何故だ…何故俺が…あんな小僧に!!』

「あーいたいた。」

『なっ…!お前は……一体誰」

ザクッ!

「怪獣の癖して呆気ねぇなー…ま、これで異変討伐完了っと。」

シュン…

「私達が出ることはなかったのでは?」

「完全にトドメ刺しきれてないんだよなーあの巨人。俺達がいなかったら後々大変だったぜ?それはそうと…」

「…?」

「セリドの面倒って今誰が見てんだ!?ほ、ほら!カトラは風邪ひいちゃって寝込んでるし!」

「はぁ…心配ないですよ。セリド様の面倒ならドメイク様が見ていますので。」

「なんだ、アイツ来てたのか。」


ー翌日ー


今日も僕はミカと一緒に登校していた。あんなことされた後だから僕としてはちょっと気恥ずかしいけど…

「どうしたのあっくん?顔が赤いよ?」

「っ!い、いいや別に…」

「もしかして昨日のこと思い出してる?」

「う…うん…」

やっぱ言われたー…まぁ忘れてるわけないけどさ…

「いきなりしちゃってごめんねー。でもあの言葉、本当だから!」

「えっと、僕の顔が可愛いってこと?」

「そう!じゃなきゃ…そのー…キスとか好きとか言えないし…」

「……///!?」

いいい…今…好きって…

「す、好きって…」

「えっ!?それはもちろん…あっくん…」

ウキャアーーーー!!!???

「えっと…僕もずっと前から…ミカのこと好きだよ…?」

こんなんで良いのか!?僕はこんな告白で良いのか!?

「ありがとう…幼い頃の夢が叶ったね。」

「夢…?」

「覚えてない?ちっちゃい時にあっくんが「大きくなったらミカを恋人にするんだー」って言ってたよ?」

幼き日の僕…何てこと言ってるんだ…

「でもこれで本当に恋人同士だね。これからもよろしくねあっくん。」

「うん。こちらこそ。」

ちゅっ。

「!?」

いきなりのほっぺちゅー!?ほんとにミカはいきなりばっかりだなー…

「恋人になった印だよ♪それに、私を守ってくれてありがとう。シルバーマン。」

「……へっ?」

バ…バレてた…?


『やれやれ…』


終わり。





「やっぱあの巨人凄かったよな。雄子に見せてやったら大興奮だろうに。」

「写真撮っておけば良かったのですが…」

「何せ作戦に集中しすぎて忘れちまったからよ。問題なのはこの「後」なんだよ…」

「あの「世界」のことですか。」

「そうだ。あの世界では何故か魔獣が他の世界よりも頻繁に出現している。俺達でも手に負えないほどにな。」

「でもその世界では「魔法少女」と呼ばれる少女達が奮闘してるのでは?」

「奮闘してくれてるのはありがたいが現に死者も出ている。もうこれ以上彼女達の未来を奪う訳にはいかない。ドメイクにも連絡は取ってある。アイツはもうあの世界に着いてるところだろうけど…」

「では、直に私達も行きましょう。ラルス様。」

「あぁ、行こう…「魔法少女の世界」へ。」

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SILVERMAN―シルバーマン― Next @Trex

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