第8話 アテネシステム(前編)

中国第3軍区陸軍による兵糧攻めが始まって三週間、オペレーション・メテオから約一か月が経つ


旧軍事施設の前にある【ロプノールⅡ】の残骸を中心に包囲してる中国軍が、再三の降伏勧告をしているが私達は応じるつもりはない

保存食は一万人が一か月は持つ量が残っている

こちらの人数は私入れても4人、向こうの数は分からないが1万人以上はいるだろう


兵糧攻めしてるつもりが、兵糧攻めされている

中国軍の方が人数が多い分食糧を消費してるのだ


さすがに痺れを切らし、こちらに攻撃しかけてくることを告げられる


地下にいる私達に向かって無人航空機からの地中貫通爆弾バンカーバスターで穴をあけ破壊ヶ所から侵入する作戦らしい

わざわざ落とす時間と座標ポイントに風の状況まで教えてくれる


警告おどしが効いてるようで私達を殺すつもりは無いみたい


お返しとばかりに此方の人数と鋼鉄鎧メタルアーマーに乗ってることを伝えた

これで万が一私達が捕まっても、はぐれたスクルドのことを誤魔化せる


戦争開始時間に備えて迎撃準備を開始

中国軍も【アイギス】があるから迎撃されるのは計算済みのはずだ

前にテロ組織が使った入り口は瓦礫でふさがってるけど、他にも入り口はある

私達が地中貫通爆弾バンカーバスターを迎撃しに出て来たところを攻撃するつもりだろう


人数差が2500倍以上という状況だ

【ロプノール】のような海で言う戦艦クラスの超大型戦車でもない限り、

100%私達が負ける


前回の戦い(一章第27~28話参照)は不意打ちと【ロプノールⅡ】を乗っ取ったことでマグレ勝ちすることが出来た


今回は対策もされてるし油断もない

普通に戦えば100%負ける

なのでこれは、旧軍事施設ここから私達が逃げれるか捕えられるかと言う問題だ


特に私は、仲間の中で唯一鋼鉄鎧メタルアーマーの上半身を失い

応急処置として有り合わせの素材で上半身を作成した

テロ組織が所有してた鋼鉄鎧メタルアーマーモドキを解体して私達の技術で作り直した物になる


油圧式駆動システムを使ってたので無駄に重くて反応が悪い

電気系統のシステムに変えたかったが護衛ロボットを増やすのに時間が取られて満足に作れなかった


「さて、準備はいいか?」


アーニャが全員に声を掛ける


私達の作戦は地中貫通爆弾バンカーバスターをミサイルで迎撃したあと、

包囲の薄い北東方面に強行突破する

護衛ロボットは当初の予定通り限界の284機まで増やし、

そのうちの200機を撹乱に使い、84機を物資運搬と護衛に使う


全員が頷いたのを確認して迎撃ミサイルの準備

地中貫通爆弾バンカーバスターの攻撃を待ち、迎撃した瞬間の爆発と煙で姿を隠しながら外に出た


ざわつく中国軍

鋼鉄鎧メタルアーマーを無効化するには両腕を破壊しエンジンを止めなければならない

だけどそんなこと出来るのだろうか?


そう思うほど彼女等の鋼鉄鎧メタルアーマーは速度が速すぎた


分類的には地上兵器になのに航空機の翼フライトユニットを装備しているそれは弾丸の様な速度

地上を走る物は音速近くになると自然と体が浮くようになるが、彼女等の機体は航空機の翼フライトユニットを使って地上スレスレを飛行してるような感じで走っている


そんな速度で走っていると当然、【アイギス】の自動迎撃の対象となり砲弾が放たれた

放たれた砲弾は私の仲間のアーニャ、エイル、ガブリエルに当たる前に、

【アイギス】と連動している鋼鉄鎧メタルアーマーの銃で迎撃し軌道を逸らす

火薬を使ってない電磁投射砲レールガンだからこそ出来る高速迎撃移動


それはまるで【アイギスの盾】で剣を滑らすような使い方である


このシステムは【アイギス】の持ち主

ギリシャ神話に登場する主神ゼウスが娘、女神アテネの名前を取り


アテネシステムと言う


砲弾を【アイギス】で回避、迎撃しながら鋼鉄鎧メタルアーマーで高速移動して攻撃に使うシステムである

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周回戦争 鯉妄想 @koimousou

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