ハッピーでホッピーだ!

定食亭定吉

1

 なぜか絡んでくる酔っ払い。そして、なぜかパチンコ屋のスロットメダルを入れていく。僕はその男にうんざりしていた。日本円を入れてくれ!

「ハッピーでホッピーだ!」

そんなフレーズに洗脳される日だよ。今日も何の帰りだか知らないけれど。

「ハッピーでホッピーだ!」

何日連続だろう。この駅の高架下に毎晩来る。曲を聴いているわけでない。この男が来るようになり、他の客は来なくなる。

 しかし、パチンコ屋のスロットメダルであれ、金と違いない。

 ある日、男が投げ銭箱に大量にスロットメダルを投入した日があった。その後、パチンコ屋に行ったら、大当りしたツナ缶。一気に数万円を得た。これは男にも感謝しないといけないと思い、ホッピー数本を買って、路上ライブで彼を待っていた。

 しかし、いつになっても来ない彼。何かあったのか?と感じたツナ缶。

「兄ちゃん、悪いな。今日は日本円だからな!」

「ありがとうございます!」

何か申し訳なく思うツナ缶。小銭を大量に投入する男。

「乾杯しましょう!ハッピーでホッピー!」

「おー!ハッピーでホッピーだ!」

恥ずかしがる男。素面は心優しい内気だった。何をしていようが僕にハッピーでホッピーを与えてくれる人だった。

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ハッピーでホッピーだ! 定食亭定吉 @TeisyokuteiSadakichi

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