21.スライムの別れ
今日はボクとアインの旅立ちの日。
みんな、町の門まで見送りに来てくれた。
「ニイムとアインがいなくなったら寂しくなるなぁ」
「ホントよね~……」
「わたくしなんて、たった一日しか一緒にいられませんでしたわ! もっとお話してみたかったのに……」
「つーか異次元収納がなくなるのが痛ェわ。本人(?)の意思ってことなら仕方ねえけどよ……」
クリス達も涙ながらに別れを惜しんで……うん、そうでもない人もいるけど、まぁそれはそれだ。
「ニイム、元気でね……」
『フェリもね! 次に会う時は、おみやげに面白い話を持って来るからね』
「ぼくも……色んなこと、話せるように……がんばるね……」
『うん! フェリの成長、楽しみにしてるよ~♪』
フェリは赤い目をしながら、しっかりと抱きしめてくれる。
この柔らかい感触ともしばらくお別れだなぁ……。
ボクとフェリが最後のお別れをしてる横で、アインとクリス達も最後の言葉を交わしてた。
「俺達はしばらくこの近辺にいるだろうから、また近く寄ることがあったら訪ねてくれ。ギルドで聞けば詳しい場所も分かるはずだ」
「分かった」
「アイン、ニイムちゃんと仲良くね!」
「ああ」
「でもあんまし町中で喋んなよ? スライムと会話する変な奴って思われっから」
「……ああ」
「今度は戦っているところも見せてくださいね。次を楽しみにしていますわ」
「ああ」
……って、アインってば『ああ』ばっかりじゃないか!
んもう、お別れの時ぐらいもっと気の利いたことでも言えばいいのにぃ!
まぁ、アインらしいと言えばアインらしいけどさ……。
「では、行くぞ」
『うん……』
――ぽいん、ぽいん、ぽいん……
ボクは、アインと一緒に歩き出した。
フェリと出会ってから、色んなことがあったなぁ……。
スライムの身で冒険者をやることになるとは思わなかったし。
それにクリス達と最初に会った時は、まさか一緒にパーティーを組むことになるなんて……ねぇ?
奇襲にあってクリスが死にそうになったり、ものすごい迫力のミノタウロスと戦うことになったり、大変なこともあったけど今になってみれば良い経験だと思える。
ティナとはちょっとしか一緒にいれなかったけど、どんな子なのかもっと知りたかったな。
あぁ……思い出と一緒に、また未練が湧いてきちゃうよ……。
って、ダメだダメだ!
これは悲しいお別れなんかじゃない。
また会えたね、って言うためのお別れなんだ。
だから、ちゃんと笑顔でアイサツしないとねっ!
『みんな……ありがとー! みんなと会えて良かった! 一緒に冒険できて楽しかったよ! また、会おうね~!!』
――ぽいーん!!
楽しいスライム生活 ~お気楽スライムはスライム生を謳歌したい~ 杜本 @morimoto
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