第5話 ホンモノと本物

 ある勝負が終わりました。


 とても長い間、朝も夜もいつ何時も勝負はやってきます。

 しかし、それも今日で終わり。

 勝者は高らかに宣言します。

「さあ、私が勝った。もうあなたはいらない!」と。

 敗者は悔しそうに、

 それでも不敵に笑みを浮かべて言い返します。

「これで終わったと思わないことね」と。

 意味は解りませんでした。

 けれど、自分が勝ったことは変わりありません。

 紛れもない自分自身に。


 しばらくして、私は知りました。

 勝負はいついつもの時間にやってくるのだと。

 私が生きている限り、苦しい戦いはやってくる。

 何人倒しても。

 そら、また〝わたし〟がやって来た。


「さあ、惨めなアナタを私が壊してあげる!」


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