第4話 足跡の言葉

 何をすればいいのか。

 何をすれば、間違いないのか。

 誰かの不安になるのが、苦しい。

 誰かの重荷になるのが、辛い。

 このまま、生きていて何があるのか。

 このまま、迷い続けるのを我慢できるのか。


 私には、分からない。

 全く見当もつかない。

 きっと、母さんは考えていないだけだと言うだろう。

 きっと、父さんは気にしなくてもとだけ言うだろう。

 二人とも私のやりたいことをしていいんだと、

 私の背中を押してくれている。

 いつもと変わらない、優しい対応で。

 何かを始めることに遅いことはないのだと、

 彼らはいつも言っていて、私のことを待ってくれている。


 きっと私の両親は、優しくて、子供想いの良い親なのだ。



 私がどんな気持ちかも知らないで。


 私がどんなに迷苦しんでいるかも知らないで。

 自分を見つめ返すのも、苦しい。

 未来を見出すのも、辛い。

 やりたいことなら、あるよ。

 できることも、まだあったよ。

 それでも私は主張しなかった。


 だって、あなた達が苦しそうだったから。

 あなた達が私の世話を重そうに思っていると感じたから。

 ため息が、

 聞こえない小言が、

 細めた視線、

 姿、

 気配、

 あらゆることが、

 私の気に触れて、

 私の心に差し込んで、

 私の治らない瑕を生んでいた。


 もう、こんな生活は送りたくない

 こんな場所にいるくらいなら、

 苦しくても、

 辛くても、

 一人のほうがどれだけ気楽か。

 

 甘えたくても、甘えられない場所ならいらないのに

 こんなことをしているなら

 こんなことを考えているくらいなら――。

 そう思うと、私は怖くなる

 成果を出せていない自分が悪いと知りながらも、

 やれば良かったと嘆くことしかできない。

 

 ああ、私はいつも、足跡ばかりを見ている。

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