勇者に滅ぼされかけながらも貧相な姿で蘇生した魔王様。
ラノベのような青春を送りたい彼は、マオとして念願の学校に入学するも、周囲と馴染めずスキルも上がらず、落第寸前……。
コミカルに始まる本作、始めのうちは周囲と魔王様とのギャップを描くのかと思いきや、パーティ―メンバーをつくり、同居人も登場し、更には生徒会長にまで目をつけられ……
あれ? これなんだか見たことない? これ、学園ラノベじゃない? ちょっと! なんか青春してるよ! キャッキャしてるよ!
するすると読んでいくうちにいつの間にか立派にラノベ的展開になっています。
それが何だか楽しくて、ついついページを捲ってしまいますね!
また、キャラクターもみんなどこかポンコツで楽しいです。
お気に入りのキャラが絶対に見つかるはず。
僕は肉片が好きです。どんなヤツなのかは読んでからのお楽しみ。
クスリとしながらするっと読める異世界ファンタジーコメディ、どうぞお楽しみください!
勇者に倒された魔王様が復活して、正体を隠して人間として魔法学園に通うストーリーなわけなんですが……しょっぱなから、だいぶ可哀想な目にあっています。
まさか魔王様が、最初の授業であんな羞恥プレイに晒されるなんて……。
誰もがひれ伏す絶対無二の支配者も、コミュニティが変わればただのボッチになってしまうのですね。悲惨だけど笑ってしまいました。
魔王形態の時から中二ネーミングの剣を持って高笑いしたり、勇者の雨宿りを気にしたりと、どこかあほっぽいところを醸し出しておりましたが、人間になったらもう、完全に可愛いイイ奴になってるし。個人的には生徒会長とのメッセージのやりとりがツボでした。
さらに、ツルペタロリ娘にメガネ委員長、高露出ギャルに天然気味の男装美女、えっちだ(  ̄ω ̄ )な残念美人など、様々なタイプの女の子も取り揃えられており、抜かりがありません。
作者さまのフェチズ……いえ、女の子に対するこだわりが、遊〇王の罠カードのようにあちこちに張り巡らされております。
また、作品の全体を通してストーリーがしっかり構成されており、非常に完成度が高いです。サクサクと読ませるスムーズな文章の流れにも、作者様の力量と強者の余裕(?)を感じさせます。
ファンタジー物のテンプレ的な設定を盛り込みつつ、随所にクスリとさせられる小ネタが散りばめられているのも見事でした。
なんでファンタジー世界にラノベがあるんだなどと、野暮なことをツッコんではいけません。ボサみて、最高じゃないですか。
そもそも、タイトルの魔王が落第寸前というのが、ドタバタコメディな学園ファンタジーを期待させてくれます。
で、実際に期待以上のポンコツ魔王様の学園ライフでした。
まず、学園生活を始めることになった動機からもう…………
今まで圧倒的なカリスマ性で君臨していた魔王様が、戸惑いながらも人間社会で頑張っている姿。ほっこりします。
ポンコツな自称魔王の娘、勇者の子、いろいろな意味でお近づきになりたくない生徒会長、イケオジな先生、暗黒微笑がよく似合う保護者の神官……個性的な奴らばかりが集まってくるのも、魔王様のカリスマ性だったかもしれません。
魔王様と愉快な仲間たちの学園ライフを、ぜひご一読ください。