君と初めて出会った話

大和とカラオケに行くことになって、僕達は最寄駅から電車に乗った。

これから向かうカラオケ店は最寄駅から一駅の門前仲町にあるカラオケ基地という店だ。

ここは周辺の高校生に近いし安いという理由で良く利用されている。名前のセンスはよくわからない。謎だ。


「仕方ないから奢るけどなぁー、お前今度おぼえ とけよ?」


と大和がため息混じりに言った。


「はいはい。わかりました、わかりました」


僕は簡単に右から左に流すようにそう言った。


そうこうしているうちに門前仲町についた。

やはり一駅なんてあっという間だ。

カラオケ基地は9番出口を出てすぐにある。

僕達は特に中身のない会話を3分程度しながら歩いて受付に着いた。


「いらっしゃいませー

お時間は何時間になさいますかー?」


髪が奇抜な色をした見た目20台前半の店員が言う


「まだ12時半だしフリータイムでいいか」


大和がそう言って僕は勉強時間が…と思ったが奢ってもらう身だ、仕方ないと自分を納得させた。


「別にいいよ」


「フリータイムですねー 19時までに混雑したら四時間保証制なのでご退出お願いするかもしれないでー ご了承くださーい」


そんな会話をして、僕達は店員に渡された伝票に書かれた部屋に入った。


「今日は90店台しか出さねーからな!」


大和が機械を操作しながら自信たっぷりに言った。


「明日の練習で声が出ないとかはやめてくれよ」


本当にこいつならやりかねない。

すると、大和が入れた曲が流れ出した。

back numberの『高嶺の花子さん』

大和がカラオケに来るといつも入れる曲だ。

こいつが歌うこの曲は正直言ってとても上手い。

以前中学生の時にクラスのみんなでカラオケに行った時大和が歌ってみんなを聴き入りさせたレベルだ。

僕達は割とカラオケに行くので僕は何回も聴いている。

まぁ今回も90点だろうと思い僕は飲み物を取りに受付の隣のドリンクバーに向かおうと席を立ちドアを開けようとした。


「圭斗聞いてくれねーの!?」


後ろで何か騒いでいるように感じたがきっと気のせいだ。と思いドアを開け、ドリンクバーへ向かった。


何を飲もう。僕は一人ドリンクバーの機械の前で考えていた。よしメロンソーダを飲もうと機械にコップを置きメロンソーダのボタンを押した。

その時だ。僕の前を同じ京川高校の制服を着た女の子が僕の前を通った。

僕は雷に打たれたような衝撃を受けた。


僕は今まで人並みに恋はしてきた。実ったかどうかは別として。運命なんてものがあったら人生はレールに沿っているだけじゃないかと。だから運命なんてものを信じたことはなかった。


しかし


僕は目の前を通った女の子に一目で恋に落ちた。

その子はとても綺麗だった。まるでちょうど今満開の桜の花のように白い肌、少し茶色の混ざった黒い髪。長さはミディアムぐらいだ。目は大きく、綺麗なピンク色の唇。

正に高嶺の花のような美少女だった。


この人と親しくなる気がする。なぜだろう。


僕は運命と言うものが本当にあるなら、この衝撃を運命と呼ぶのだろうと思った。


気づいたらコップから緑色の液体がドボドボと溢れ出ていた。

これが君と初めて出会った話。


そして…君がこの世界から居なくなるなんてこの時の僕は一ミリも思ってもいなかった時の話だ

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君との日々をここに綴る @tukisawasei

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