何気ない日常のスケッチが、どうしてこんなに艶やかに感じるのだろう

気ままにふらついていると、時折こういう作品を書かれる作者さんにぶつかるので、カクヨムの多様性というものは恐ろしい。
たった千四百字あまりの短いスケッチ。それも、何気ない日常のワンシーンを描いただけのもの。それが、欧州の、小品だが美しい芸術映画を眺めるような感覚に私を陥らせる。ごく微かな断片としてしか語られない、流れる人生を私の中に滑り込ませてくる。
音が違う。光の匂いが違う。作品のもつ空気がまるで違う。この不思議な感覚を正確にあらわす言葉を、私は持たない。そのことが、今、ひどく歯がゆい。

幻想のうつくしさともまた違う、リアルを写すうつくしさを、この作者さんの書かれるいくつもの作品で、是非、味わってみて欲しい。