0105

「元気出たか?」

 車に乗り込んですぐに発したJの言葉に驚いて、私はまじまじとその横顔を見つめた。

「なんだ」

「お前は本当におかしなやつだよな」

「なんだと」

 繰り出された左ストレートをさっと避ける。

「ほめたのに」

「で、どうなんだ」

「……もう少し、かかるかな」

「そうか」

 Jは一度頷いて、エンジンをかけた。

「じゃ、帰ろう」

「帰ろう」

 レッツゴーと助手席で私が叫ぶのと同時に、Jがアクセルを踏み込んだ。

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月見里 コオロギ @softinsect

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