カナちゃんです。

 どうもこんにちは、ミヤコです。

 今は授業が終わって下校中です。


「ミヤコちゃん……ちょっといい?」

「いいけど。どうしたのかな?」

「何のために人間って生きてるんだろう?」


 ――哲学でしょうか?

 そう私に問いかけると、隣では真剣に答えを出そうとしている様子のカナちゃんです。

 決してふざけてなどはいません。いつでも彼女は本気です。

 とにかく本気なのですが、この子は8割方何を言っているのかよくわかりません。


「うーん。ご飯を食べるためとかかな?」

「なるほどご飯かあ。でもあたしはパン派だから~」


 そういう意味でのご飯じゃなかったんだけど、まあいいか。


「ラーメンは……ううん。じゃあカナちゃん、うどんは?」

「はぁ、いいねえ~。でもソバもいいよね。あとはあの平らな!」

「なんだろう……きしめんかな?」

「な……納豆!」

「うまい棒」

「う……うまい棒納豆味!」


 本題はどこへ行ってしまったのか。

 そんなことはどうでもいいか。

 こうなると私も段々楽しくなってきます。


「地味なチョイスだね。ところでカナちゃん、あれってすごいよね」

「ね~! そうなの、よくわかったねミヤコちゃん」


 適当にあれって言っても会話が通じるのはこの子だけです。

 もしテレパシーみたいなものがあるのだとしたら、それはとっても素敵なことだなと思います。


「ミヤコちゃん、ケーキだよ!」

「よし、じゃあいこっか」


 おかしな子だけど、なぜだかカナちゃんのことは嫌いになれません。

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