よんこま。
夕凪 春
レイアです。
あ、どうもこんにちは。ミヤコです。高校2年です。部活は帰宅部です。
あとはそうですね、家は両親と暮らしています。兄弟はいません。
得意な科目は――
「ミヤコぉー!」
「ぎゃあああ」
レイアが抱きついてきました、全力で締め上げるように。
やめろ、腰骨が折れる。
この子はいつもこんな感じです。元気があるのはいい事だとは思いますがとてもやかましいです。
「どうしたの、レイア?」
「ミヤコ……俺以外を好きになるの禁止だから!」
キラッ☆と歯が光りそうなセリフを吐きます。
乙女ゲーでも言わねえよきょうび。
ひとまず彼女を強引に引き剥がしながら問いかけます。
「そうなんだ。そういえば宿題やってきた?」
「やってないねぇ!」
今度はドヤ顔です。とても鬱陶しいです。
このあときっとこう言います。
"見せてよいつもみたいに"、と。
「どうしてもって言うんなら、見てやってもいいんだからね!」
「だめだよ。いつもいつも自分でやらないのは」
「そうだよね。私が間違っていたよ!」
かがんだ状態から勢い良く立ち上がったレイアはポケットから何かを取り出しました。
「本当に悲しいよ。このネコネコストラップの所有者が未だに現れていないなんて!」
それはUFOキャッチャー限定のストラップです。黒猫&白猫の。
明らかにレイアは私を物で釣ろうとしています。
そんなものでなびくとでも思っているのか。ふざけるな、いい加減にしろ。
ここは一言、びしっときつく言ってやらなければなりません。
「レイア、親友にこんな言い方はしたくないけどさ……。はっきり言ってさノート見る?」
直後レイアがニヤっと笑みを浮かべたのは、多分気のせいではないはずです。
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