男三人と女三人。六人の幼馴染たちが描く恋色プリズム

多摩川にほど近い川原町団地は、幼稚園児からお年寄りまで住人みな顔見知りという昔ながらの人付き合いが残る集合住宅。
そんな団地で生まれ育ち兄弟姉妹のように仲の良い幼馴染の男女六人組を描いた青春群像劇。

モデルもびっくりな高身長だけど内気な夏菜。
ムードメーカーで周囲から愛されるアホ娘の千華。
口元のホクロがチャーミングなギャル系の美優。
サッカー部のキャプテンで爽やかなイケメンの修。
チビだけど誰よりも威勢がいい腕白小僧の元気。
そして自然と皆の先頭に立つリーダーの奏太。

放課後は誰かの家に集まって、ゲームをしたり、マンガを読んだり、そのまま寝落ちして男女交じって雑魚寝してしまう、そんな幼馴染たちの気のおけない関係が心なごむ。

しかし、六人も高校三年生に進学し、将来の進路を考え始める。
それは同時にモラトリアムの終わりを意味し、次第にそれぞれが秘めていた恋心があふれ出てきて、ただの幼馴染ではいられなくなる。

微妙な距離感と複雑な男女の恋愛模様が切なくも愛おしい気持ちで胸をいっぱいにさせてくれる。

男女六人それぞれの視点で語られていく、彼ら彼女らが見つめる先には誰がいるのか。

人生で最も美しい青春の真っ只中にいる若者たちの輝きが眩しい一作。

(新作紹介 カクヨム金のたまご/文=愛咲優詩)