終章 親愛なる君へ

   終章 親愛なるきみへ


 これで僕のお話はおしまいだ。

 どうだった?

 うん、もちろんおじさんは僕のせいで死んだってわけじゃないよ。

 それでもね、たまに思っちゃうんだ。

 僕が帰ってきたから、おじさんが死んだんじゃないかってね。

 まあ、そんな昔のことはいいんだよ。

 あれからかい?

 いいや、アンくんにも、アマさんにも、パティにも、カラス君にも、当然ジョニーさんにもあの男の子と女の子にも会ってはいないよ。

 アンちゃんは、家族に認められたかもしれないし、認められなかったかもしれない。

 アマさんも、合唱大会で、大切な仲間たちと優勝できたかもしれないし、できなかったかもしれない。

 パティも、あれからも女の人に閉じ込められて暮らしているかもしれないし、逃げてどこかで暮らしているかもしれない。

 カラス君も、あれからもみんなに優しくしているかもしれないし、もしかしたら、一匹でどこかに行ってしまったかもしれない。

 ジョニーさんも、あれから海で誰かに道案内をしているかもしれないし、もしかしたら寿命で死んでしまったかもしれない。

 男の子と女の子も、あれからも仲良くしているかもしれないし、お互い離れ離れになってしまったかもしれない。

 でもいいんだよ。

 僕が、みんなに会えた事そのものに、意味があったんだから。

 そりゃね、女の子が始まりだったさ。だからって女の子との出会いだけでよかったってわけじゃないんだ。

 誰か一人でも、一匹でも、一羽でも欠けていたら、僕は答えを見つけられなかったかもしれないからね。

 誰か一人のおかげなんて言うのは、他のものを否定しているみたいで、好きじゃないんだ。

 だから、君に出会えたのも、大切な要素なんだよ。

 心残り?

 やっぱり、おじさんに伝えられなかった事かな。それが理由だったからね、あの頃は。

 前置きが長くなったね。

 実はこの話をしだしたのは、卵を温めている君の気を紛らわすためだけじゃないんだ。

 君にあることを伝えるためだったんだ。

 え?今卵が動いたって?

 なら急いで伝えなきゃね。子供たちが生まれる前に君に伝えとかなきゃいけないんだ。

 それが、僕が答えを見つけた意味かも知れないからね。

 恥ずかしいけど、言うね。

 心して聞いてくれよ。

 えっとね





































 




















「      」





















































おしまい

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