第39話 不満と幸せ

 翌朝、ガラリアにしっかり抱かれて目を覚ます。ここは城の塔、玉座の間の奥にある寝室。天蓋付きの豪華なベッドの上に俺は居た。


 静かな寝息をたてていたガラリアは俺が動いたことに気が付き、ぎゅっと抱きしめた後気だるそうに身を起こす。そして湯に浸したタオルで顔を拭いてくれたあと、冷たい水を飲ませてくれた。


「…おはよう、よく眠れた?」


「ああ、昨日は結構飲んだからな」


「ふふ、おっきくなってる♡」


 そう言ってガラリアは朝の奉仕をしてくれた。


 身も心もすっきりして二階に降りるとそこのテーブルには火にかけられた鍋にうまそうなスープが入っていた。それを取り分けてもらい二人で朝食を。


「…素敵な朝ね、私、こういう日が永遠に続けばいいと思っているわ。…あなたは?」


「ああ、悪くない。お前は良い女だからな」


「そう? じゃあ、私の事、好き?」


「ああ、もちろん。愛してもいる」


 ふふっと笑いガラリアは身を寄せた。


「…私ね、あなたに喜んでほしくて一人でここを手入れしてたの、何日も何日も、その事が楽しくて。今はまだ小さな玉座、でもいずれきちんとしたところを作ってあげるわ」


「うーん、それはいいけどさ、」


「…気に入らない?」


「こういう場所は楽しくもある、でも俺の玉座はお前の上、正確にはお前の中だからな、形は必要な時もある。だから嬉しい。けどどうせならお前の中の玉座をもっと豪華にしてほしい」


 そう言うとガラリアはハッとした顔をしてボロボロと涙を流した。


「なんだよ、いやだった?」


「…ううん、違うの。私、浅はかだった。こういうところを用意して、それであなたの気を引いて、私が一番、そう思って欲しくて。…でもあなたは私だけ、既にそう思ってくれていた。それが嬉しくて、でも自分の足りなさを感じても居て」


「お前は自覚が足りてない。俺にはお前が居ればそれでいい、そう言う自覚が」


「…ごめんなさい、でも、もう失敗しないわ」


「失敗ではないさ。でも俺はお前の心、その中に玉座をしつらえわがままに暮らしたい」


「…はい、私が叶えて差し上げます、――我が君」


 そう言ってにっこり微笑みガラリアはキスをする。その時、ブオンっと音がしてゲートが開く。


「…王子、ノエル、ちゃんと来ました。…ガラリアさん、今日は私、そうですよね?」


「そんなに焦らないの、あなた朝食は?」


「…まだですけど」


「なら一緒に食べましょ? そっちに」


 そう言ってガラリアは向かい側の席を勧めたがノエルは俺の隣に座ってしがみつく。


「もう、狭いんだよ!」


「今日は、私ですから」


「はいはい、わかったわ」


 ガラリアは大人の余裕を見せ、向かい側に席を移した。それはそうとノエルは何故かメガネをかけている。まさしく地味子完全体。


「おまえ、何そのメガネ」


「…兄さんが私にはこういうのが似合うって、手に入れてくれて、それで」


「まあ、ある意味似合ってるけど」


「…本当、ですか?」


 そう言ってノエルはパアッと明るい顔をする。


「ともかく飯、ほら、そのパンちぎって食わせろ」


「…はい、あーん♡」


 メガネをかけたノエルは中々の破壊力。何よりじっと俺しか見ない、そう言う部分もすごく良かった。そのノエルの尻をまさぐりながら飯を食い、食後のお茶を飲む。


「…それじゃ私、席を外すわ」


「…あの、ガラリアさん」


「なに?」


「…少し、お話をしたいです」


「かまわないけど、それなら上に行きましょう?」


 上に移動し玉座に俺を座らせる。二人は膝をつき、俺に縋りつきながら話を始めた。


「…兄たちはこの件についてガラリアさんにも力を借りろと」


「…そうね、確かにこのままではシェリルの群れが、でも、王子の意向、これを超える事は許されないわ。…王子、どう思う?」


「そうだな、確かにシェリルをって言うのはちょっと。お前たちで十分だからな」


「…それに、それが当たり前、そうなってしまえばシャーマンを任ずるたびに、」


「そうね、限度がなくなるわ。王子に女にされてしまえば気持ちだって。憎み合って争う事だって。けれど、アレア様の意向もあるのよ?」


「…この事はアレア様にはお伝えしません、」


「いいのそれで? シャーマンはクイーンに隠し事をしない、それが掟よ?」


「…私、王子にしか寄り添えないですから。アレア様は尊敬はしてもあるじではないです」


「…そう、覚悟があるのね」


「…あなたは、ちがうの?」


「…うふふ、私、とっくにそんな覚悟は出来てるわ。ここでの事もアレア様には伝えていない。だって必要ないもの。私のすべては彼に、それ以外はいらないわ」


「…ならばこれも内密に、」


 そう言ってノエルは結構衝撃的な話を始めた。


「えっ? と言う事は、アレア様はオババ?」


「そうです、オババは自らをアレア様の体に移し替えた。けれどオババの力は子供だったアレア様の体には耐えきれない。だから王子にその力を、でもそれは失敗した」


「だから彼女は事を急いでるのね。魔界に赴き全てのケリを、自分のなせることを全て」


「はい、アレア様は近いうちに、そうなれば」


「次のクイーンをと。候補はあなたと私、そうした方がいい」


 オババはアレアとなり、自らの想いを遂げた、ならばそれでいい。オババはまた、違う誰かとなって生まれてくるのだから。


「うーん、でもさ」


「でも?」


「クイーンになったらやること増えるじゃん。そうなったらアレアがそうであるように、俺の相手ばっかりって訳には行かないだろ?」


「…そうね、クイーンはノエル、あなたがやれば?」


「…ちょっと、ずるいです!」


「って言うかさ、クイーンて要らなくね? だってオババが蓄えた知識は禁断なんでしょ? それと一緒にオババは消える。残ったシャーマンたちは力的には皆同じなんだろ?」


「けれど、統括は必要よ?」


「ならさ、お前らがその役をやればいい。…そうだなあ、俺が王ならお前らは王妃、そして執政官でもある、そんな感じで。従えない奴は一族として認めない」


「…いいの? それで」


「良いも悪いもあるか、俺が決めた。アレアが、オババが世を去るというならその思いは俺の中で生きて行けばいい。俺だけの思い出として」


「…すごいね、王子は、…私、自分の事だけしか考えてなかったです」


「私もそう、けれど次は間違えない、そうでしょ?」


「…はいっ!」


「なら、まずはシェリルの事を何とかしないとな、作戦は?」


「…はい、あちらにはヴォルドさんが、そのヴォルドさんの妻、ルルはシェリルさんの娘です。だから彼にと」


「悪くないな、だがどうせならみんなで行くか。ノエル、お前は戻ってお前の兄貴たちを連れてこい、全員だ」


「…でも、マーベル様のお世話が、」


「そんなものは住人たちに頼めばいいだろ? あいつらにとってもマーベルは姫様なんだし」


「…判りました、すぐに」


「ガラリア、お前もここに全員を集めろ、仕事なんかどうでもいい」


「それはいいけど、何をするの?」


「向こうには温泉があるだろ? だからみんなで遊びに行くんだよ」


「…もう、そんな事?」


「みんなだって息抜きは必要だろ、あーあと、それならシェリルのローブは違う色がいいな。アレアの部屋に普段着用に買った布がある。緑の奴、それも持ってこい」


「はい、わかりました」


 しばらくするとゲートをくぐってノエルの兄貴たちが現れ、階段からはここの面々が昇ってくる。みんな不思議そうな顔をしていた。


「…なあ、王子、なんだってこんなとこに? 俺ら、忙しいんだぜ?」


「うるせえな、てめえ、今から話すんだから黙って聞いとけ」


「まったく、たまんねえぜ」


 こうしてみると元々敵対的だったのもあり、ガラリアの所はひと固まり、ノエルの所も纏まって互いに口も利かない感じ。ノエルの所は数は少ないが何しろ兄貴はホブ上がり、圧倒的に体格が良く、ガラリア側も目をあわせない。


「はい、今からみんなで温泉に行きます」


「「えっ?」」


「ちょっと待ってくれよ、俺ら仕事が」


「そうだぜ、スケジュール詰まってんだよ。無職のあんたと違って!」


「はは、しょうがないよね」


「ばかやろう、俺は無職じゃないです、えっとなんだっけ? 自治領主? そんな感じだし、そもそもお前らの王様だろ? 頭が高いんだよ!」


「なんだと! このクズが!」


「もう、お前も落ちつけって喧嘩して勝てる訳ねえだろ?」


「けどよ!」


「あたしはいいかも、温泉。みて、こないだ王子にされちゃってからこんなに肌がつるつるに。なんかぁ、顔もキレイになってるし」


「あ、それ、わかります、私たちも昨日、みんなされて、すごく良くて、お肌も顔も、なんていうか、自分の中でもっときれいになりたいって思うようになって」


「わかるー、あたしもそうだよ? 王子のアレってすごくいいもんね」


 そんな感じで女たちは打ち解け始めた。だが男たちは。


「王子が温泉行くって言ってんだろ? いちいち文句つけてんじゃねえよ!」


「あ、てめえやんのか?」


「やめなよ兄さん、すっごく弱いんだから」


「うるせえな、バカ、今そう言う事言うんじゃねえよ!」


「…そうだぜ、それに王子が無職なのは今に始まった事じゃねえだろ、何十年も無職なんだぞ? っていうか働いたことなくね?」


「あーだよね、いわば無職のプロ?」


 カッチーンときた俺はそいつらを全員ぶん殴る。


「いったーっ、手加減しろよな!」


「ほんとシャレにならねえ」


「なんで僕まで!」


 男たちは頭を抱えて蹲り、そんな様子を女たちはクスクス笑って見ていた。


「っていうかさ、王子は確かに無職だけどあっちはすごいじゃん?」


「そうそう、仕事が出来てもあっちがあれじゃ男はダメだもんね」


「あっちで劣る男が王子に文句? ウケルんですけど」


「ウチの男たちも大したことないし、なんていうの初めて女として目覚めた、みたいな?」


「あー、それわかるー、ほんと王子はすごいもんね」


 そんな追撃を受け、男たちは涙目だった。


「あんたたち、俺ら、揉めてる場合じゃねえよな」


「ああ、そうだな、お前らは同じ痛みを背負うものだ」


「そうだよね、みんな、仲間だよね?」


 男たちはそう言って確執を忘れ、互いに慰め合っていた。だが、女たちの追撃は止まらない。


「そもそもさ、うちもノエルなんかじゃなくて、やっぱりあたしがシャーマンやっとくべきだったよ」


「そうそう、あんなつまんない地味子、あたしたちの方がいいもんね」


「ウチもそうですよ、ガラリア様はいい歳なのにずっと盛りっぱなして」


「ほんとはしたなくて、なんかずるいし」


「今考えたら腹立つよね、ババアと地味子ばっかり」


「ですよね、…でもさ、ほら、シャーマンって欲求不満なかんじするじゃない?」


「あー、わかるー、いっつもイライラしてたもんね」


「ま、女としては出来損ないがシャーマンに選ばれてたわけだし、あたしたちは、ほら」


「そうね、ああはなりたくないし」


「でも、ずるいですよ、出来損ないなのに王子を独占して」


「年増の深情けって奴? 見苦しいにも程があるよね」


「うちなんかさ、地味子だよ? あいつ処女だったし」


「ウケル―、大人になって処女とかあり得ないんですけど。あたしの時なんかみんながっついて大変だったんだから」


 思わぬ流れ弾を食らったガラリアとノエルも涙目だった。


「へへ、お前らはな、まだまだ女としての自覚が足りてないんだよ。こいつらはそういうの俺がきっちり仕込んだからな」


「ずるいですよ、あたしにも仕込んでください」


「そうですよ!」


「とりあえず温泉、しっかり肌を磨いとけよ?」


「「はーい」」


 半泣きのガラリアがゲートを開き、ぞろぞろとみんなで巣穴に移動する。大勢で訪れた俺たちを何事か? とヴォルドとルルが顔を出した。


「あ、王子、なにこれ?」


「お前はシェリル呼んで来いよ、ルル、お前はこいつらがくつろげる部屋を」


「あ、まあいいけど、ルル?」


「うん、わかった」


 ガラリアとノエルにはシェリルと話をしておけと言い、女たちをルルに部屋に案内させた。そして俺は男たちを連れて温泉に入る。


「あーっ、やっぱいいな、温泉って」


「そうだけどよ、わざわざみんな引き連れてきた意味あんのかよ」


「いいんだよ、たまには。おい、誰か酒貰って来いよ」


「じゃあ、僕が行きます」


 酒を飲みながらみんなで温泉、ノエルの所もガラリアの所も色々あったので気を遣う間柄ではない。そのうちにあれこれみんなで話し出す。


「んでな、ノエルがシャーマンに、そんときについでにウチの女たちも王子に抱かせてさ、それがすげえ興奮して」


「あー、それ判る、ウチも夕べさガラリア様が作った城の塔の玉座の間、あそこに集合かかって、ガラリア様はそう言うの好きだから俺らも合わせてやんねえとって片膝ついて忠誠を誓ってみたりしちゃったのよ。そしたら王子がさ、俺らに裸になってまぐわえって、普通はそう言う事言わねえだろ?」


「んで、どうだった?」


「それがすげえ良くて、女たちも王子にみられてるってのもあって激しくてさ、そしたら王子が二人で一人の女を使えって、そう言う事今まで考えた事もなくて、余った女は男一人を挟み込むようにしてさ、それがすげえ良くて、正直今まで交尾なんてのは義務? そんな感じだったから」


「それは俺らも一緒さ、生まれた時から知ってる相手、そりゃあ最初は昂ぶったけど何十年もおんなじメンツ、ましてや俺の所は男三人に女が20人近くいたからよ。むしろ苦痛? そんな感じだった」


「ウチは男女同数だけど、やっぱ同じ、こう刺激ってのが薄くて。女も子を産むため、そんな割り切りでしょ? 面白くなくてさ」


「まあ、気持ちいいし、たまには昂るけど、流石にそれだけってのはきつかった」


「ウチはまだマシなのかな、仕事してると楽しくて、でも夜はちょっと、」


 まあ、色々あるみたい。とりあえず名前がないとめんどくさいのでノエルの所のホブの兄貴にはダンと、ガラリアの所のリーダーっぽいのにはライルと名をつけた。


「なんか、名前とか照れ臭いな」


「俺も、ちょっと恥ずかしい?」


「うるせえな、みんなもこいつらはそう呼べ、いいな?」


「「はいっ」」


 その二人を残し、他のメンバーは上がらせる。次にここにいる男たちを呼んで来させた。


「…王子、俺たちはなんでこんなきつい目に!」


「何がだよ」


 聞けばここの男も3人、一緒に来た親衛隊の面々はブスっとした顔だった。


「こいつらズルいんですよ! こっちは女日照りだってのに朝から晩までセックス三昧で、それがきついとか」


「だからお前らもやっていいって言ってんだろ? 何? あれなの? 人間様はゴブリンなんかとって?」


「そうじゃねえよ、…その、人間だからって嫌われたらイヤだし。ゴブリンの女が良いってのはさヴォルド隊長でわかってるから」


「王子、俺たちもう、限界なんです、金玉はちきれそうで、」


「俺らは搾り取られて死んじまいそうなんです! 王様なら何とかしてくれよ!」


 ここにも新たな問題が発生していた。取り合えずここのリーダーにはドレンと名をつけ、親衛隊のリーダーはカリウスと名乗った。それぞれのリーダーに対策案を考えとくように伝え風呂から上がらせる。今度は女、まずはノエルの所から。


「あたしらはまあ、こんなもんかなって。交尾は子を成す為にする事だし、王子が抱いてくれるって言うなら別だよ?」


「うんうん、そうだよね、兄貴や兄さんたちは頑張ってくれてるけど、付き合いも長いし、マンネリ感は否めないかな」


「今は女の人数が減ったけど、前は三人とも死にそうな顔してたもんね」


「そうね、でも、子を成すには必要な事よ?」


 ここの意見はこんな感じ、やはりマンネリ、それが大きな課題であった。


 交代して次はガラリアの所の女たち。ここはどちらかと言えば真面目系。


「…正直に言えば、夕べの事がなければこんなもの、そう思って過ごしていけました。けど、あんなことされたら、もう、」


「そうですよ、あんなにイイなんて知らなかったし」


 ここも大体の意見は同じ、刺激が足りていない、それが不満。俺に責任をとれ、と言う声もあったがそれは聞こえないふりをした。


 最後はここの女たち。わいわいと現れたのは20人の女。どちらかと言えば控えめな印象だった。


「…聞いてください、もう、私たち限界です。子を産もうにもシテもらえなきゃできないじゃないですか」


「そうですよ、ずっとあの三人だけで、私たちは週に一度、それもわずかな間だけ、」


「それもあるけどシてる時、ほんとにイヤそうな顔されて、それがすごくつらいです」


 こっちはかなり深刻な問題だった。


「ともかくこっちでも色々考えてみるから、」


「絶対ですよ?」


「あたしたち、あの人間の人たちを襲っちゃいそうで、あの人たち、いっつも私たちをエッチな目で、」


「そうすればいいじゃん」


「だって、私たちはゴブリンなんですよ? 人間の女に比べたらブスで醜いし。そりゃあアレア様やルルたちみたいになれるならそうしてます」


 オババを始めゴブリンのブス問題も深刻だった。


「とりあえず、そうだな、他の女たちにも伝えておけ、今できる範囲で最高にキレイにしておけと。下着もちゃんと選ぶんだぞ?」


「…わかりました、でも」


「いいから、とりあえずそうしとけ」


 そんな話をして風呂から上がる、そこにはノエルが居て髪や体を拭いてくれた。そのノエルを連れ、借り受けた部屋に先ほど名付けた男のリーダーたちを集めた。


「女たちにも話を聞いた。まあ、お前らと一緒であっちはあっちで不満があるって事だな。あ、ドレンの所は深刻だぞ?」


 そう言われたこの巣穴の男、ドレンは苦笑い。


「ともかくだ、解決方法は探るとして、その前に俺たちはやるべきことがある」


「そりゃなんです?」


「互いの信頼、それがなきゃ何もうまく行かないだろ? お前らはそれぞれ別の群れだし、カリウスは人間、種族が違う。まずは男同士の絆、そう言うものをしっかりと」


「で、どうするんです?」


「ノエル、ガラリアは?」


「まだ、シェリルさんとお話を、」


「そんなのどうでもいい、キレイにして待たせとけ、10分で用意させろ」


「…あ、はい」


 しばらくするとシェリルの用意が整ったと連絡があり、俺はノエルとみんなを連れてシェリルの部屋に。そこにはガラリアと呼び出しておいたヴォルドとルルも居た。


「…王子、一別以来ですね」


「ああ、そうだな」


「…私も、ガラリアやノエルのように、そう期待しても?」


「その為にここに来た。ダン、ライル、コイツをテーブルに押さえつけろ」


「えっ? キャッ何を?」


 二人に両肩を押さえつけられたシェリル。そのシェリルの服を剥ぎ、かなり大きめのおっぱいをゆさゆさといじった。


「その、このような形、ひどいです」


「カリウス、これはお前への試しでもある。ちゃんとゴブリンの女とやれるか、俺たちに証明しろ」


「あ、え、いいんですか?」


「ちょっと王子、何してんだよ!」


「うるせえなヴォルド、お前の出番はまだ先なんだよ! それまで黙ってろ」


「だって、こんな事、俺ら、世話になってるし」


「いいから見てろ」


「俺、やっちゃうよ? いいよね、ね? ああ、おっぱいすげえやわらけえ!」


「だめ、そんな、だめよ!」


 欲求を溜めに溜めたカリウスは夢中でシェリルを犯していく。その様子を俺は椅子に座り、両脇にガラリアとノエルを侍らせてみていた。


 激しい昂りを爆発させたカリウスに代わり、今度はダン。逞しい彼は一気にシェリルを貫いた。


「へへ、他所の女ってのは初めてだが、すげえいいもんだな」


 ここでも激しい営みがあり、その次はライル。


「うっわすげえ、なんか悪いことしてる気がする」


「気のせいだ、存分にやれ」


「まじすげえ、あ、だめ、もうもたねえ」


 ライルが終わるとドレンにも勧めたが横に首を振るので次は俺。すでに男たちに犯されグズグズのシェリルはすごく良かった。


 俺が射精するとシェリルは変質を始め、なんか豊満なママ系の美人になっていた。


「へえ、いいじゃん」


 そう言って今度はドレン、カリウスたちも二週目に。みんなが十分に満足したところでヴォルドにシェリルを抱かせた。


「ヴォルド、そいつはルルの母だ。娘婿のお前が面倒見るのが当たり前だろ?」


「まあ、そうだよな」


「うんうん、当然?」


「隊長、カッコいいぜ!」


 レイプマンたちはそう言ってヴォルドを応援する。


「…お母さん、俺」


「私、いっぱいされちゃった、ごめんね」


「あいつらがバカだから気にしないで、後は俺が、」


「…うん、ヴォルド、私、あなたが好き」


 娘のルルも母親と一緒と言うのは嬉しいらしくにこにこしていた。まあ、こっちは終わり、後は別の問題。


「まず問題はゴブリンと人間で子が出来るかってとこだろ?」


「「「えっ?」」」


「なんだよ、」


「そりゃあ普通にできるに決まってんだろ、俺らはオークと同じ妖魔なんだぜ?」


「なら何で人間の女とはしないの?」


「しないって言うか、前例はあるよ? 生まれたのは全部ゴブリンだけど」


「そうなの?」


「早い話がだ、人間の女を孕ませたとこで生まれてくるのは一人か二人、妊娠期間も一年だろ? それに出産のリスクも大きいし、だからやらねえだけだ」


「なるほどね、それじゃ逆は?」


「王子さぁ、俺らの女を好むもの好きはそういねえだろ? だからその逆はねえって事」


 そこにガラリアが口を挟んだ。


「…いいえ、前例はあるわ。古い記録だけど。遭難した人間の男と群れからはぐれたゴブリンの女、極限状態で戦うよりも協力を、言葉も人間の言葉で、そうして二人は子を成した。もちろんゴブリンの子、生まれる数も5人とか6人。私たちに見劣りしない」


「そうなんだ、」


「その生まれた子たちが増えて群れを成したのが私たちの群れの始まりなの」


「えっ? んじゃ俺もですか?」


「そうね、私はゴブリンにしては人間よりだった」


「まあ確かに、元々良い女だったからね」


「そう言う血ってどこかに出るのよ、だから人間の男とゴブリンの女、その組み合わせは問題ないわ」


「んじゃまずはそっからだな。カリウス、お前の仲間を全部集めろ。ノエル、お前は女たちを広間に、全員だ」


「「はい」」


 広間に女たちを全員並ばせ、まずは作戦会議。


「いいか、これからお前たちは好きな女を選べ、で、そいつを妻にしろ、判ったな?」


「マジっすか? 俺らこのまま女と無縁で生きていく、そう思ってて、王子、ありがとうございます!」


 そう言ってカリウスをリーダーとする親衛隊員はじろじろと無遠慮に女選びを開始する。女の数は34、男は26。まあ、多少女が多いが何とかなるだろう。


「カリウスはうちの女か、見る目があるじゃねえか」


 そのカリウスが選んだのはダンの群れの黒髪、お姉さんっぽい奴だった。


「次はうちの群れ、ダン、俺のとこの女だって負けてねえよ」


 次はライルの所。人間の男は見た目重視、二つの群れは俺が抱いた女たち、少しだが変質して通常のゴブリンよりはかなり美人になっていた。


「かぁ、マジかウチのは全部売れ残りって?」


 そう嘆くのはドレン、まあ気持ちは判る。


 カリウスたちは選んだ女を連れて早速自分たちの部屋に。次はダンの群れの男三人。


「俺はこいつだな」


「んじゃ俺はこれ」


「僕はこの子かな」


 三人が選んだのは純朴そうなドレンの群れの女たち、ドレンはガッツポーズを決めていた。

 ダンたちも自分たちの部屋に選んだ女を連れて行った。次はライルの所の10人。

そのライルたちが選んだ女も純朴そうなドレンの群れの女、最後にドレンたちが他の群れから女を選び、残ったのは8人、みんなドレンの群れの女だった。


「…なんで私たちだけ、ひどいです」


「そうよね、あんなブスが選ばれて、みんな見る目ないのよ」


 当然残った女はブーブー、だがしばらくするとカリウスが戻って来た。


「へへ、実はね、やりつぶしちまって、残りもウチの連中で面倒見るって事で良いっすか?」


「…当然だな、うまくやれ」


「はいっ!」


 欲に溢れた人間の男たちは都合18人の女を面倒見るとこで決着した。


「…ねえ、王子? これでいいの?」


「ああ、何か問題?」


「私たちはずっと群れの中で、そうやって生きてきたの。やり方があまりに乱暴じゃないかしら?」


「男も女も不満を抱えたままよりよほどいいだろ? そう言うしきたりってのはさ、理由があってそうなってる。けれどそのしきたりを守る為、みんなが我慢を、それもおかしい話さ」


「…あなたは王として、そこを変えたと?」


「ま、そう言う事、それを言うならシェリルの時点で話がおかしくなってるだろ? それにだ、このままいけば男の数は減る一方、この巣穴には大人になれる年齢の子はもういないだろ?」


「…そうね、大人にしたところでルルやソフィみたいな若い子、いいえ、人間でいえば子供のような形になってしまうわ」


「それじゃ意味がない、そもそも男が足りない原因ってなんだろうな?」


「…私、聞いたことがあります」


「ノエル?」


「私たちの群れのシャーマンは高齢、ここと同じで大人にするには年齢が足りていない子ばかり。だから三番目の兄さんや私は子供っぽい形を」


「そうだったな、今は違うけど」


「…シャーマンは高齢になると男を作りづらくなっていくって一番下の私が最後、けれど私も女だったんです」


「そうね、オババも高齢、だから男は三人。私の所は私がまだ若いし、みんな私が大人にしたから」


「なるほどねえ、ありそうな話さ」


「オババはあなた可愛さに最後の可能性、大人になれる年齢の子供を自らの依り代、アレアとしてしまった。ルルやソフィも女。年齢が足りてなかったからああなった」


「それはそうと、シェリルさんはなぜ? 流石に可愛そうです」


「ああするしかないだろ? 最後はヴォルドに、それは決まってた。だけど俺が抱いて、そのあとヴォルド、これをシェリルが嫌だと言ったら? あいつはアレアに通じてる。そうなれば悪いのはお前たち」


「…そうね、アレア様が責めるのは私とノエル」


「だけどああやってみんなで、そうしてしまえばシェリルはヴォルドに縋るしかないだろ? それに俺たちもああすることで絆が生まれる」


「…でも、私たちの前でなんて」


「そうしなきゃ浮気になるだろ? 今回の事は必要だった、ただそれだけ」


「…でも、今日は私の日なのに、」


「それは明日、それでいいだろ?」


 その日は二人とベッドを共にした。


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