六話
廊下にいた神谷はとりあえず部室に入った。
今日の部活の参加者はこれだけなので部活を始めることにした。
俺達は部室の真ん中にある机を囲うように座った。
「それじゃあ今日の部活はそれぞれの好きなゲームについて語ってもらいたいと思います」
どうやら今日は好きなゲームについて語らなければいけないらしい。
俺の好きなゲームは決まっているからいつでも行けるぜ!
しかし別に語るのはいいのだが誰から話していいのやら。
「先輩、順番はどうするんですか?」
「どうしようか、特に何も考えていなかったからな〜」
「……そこは考えといて欲しかったです」
「はぁ、私が決めますよ。言い出しっぺの部長からで良くないですか」
「それもそうだね〜」
順番も決まってことだし、とりあえず今日の部活を始めた。
「私の好きなゲームはドラゴンクエストだよ。ちなみにシリーズは全てクリアしていまーす。ドラゴンクエスト略してドラクエのいいところは古き良きRPGってところかな」
なるほど、たしかに今のドラクエは昔ながらのRPG要素を取り入れて、時代がどれだけ進んでもファンが増えていく一方だしな。さすがはスクエアだな。
「他にも昔ながらの戦闘仕様に怖いはずなのにどこか可愛いモンスターたちだよね〜。あとは最近のドラクエはストーリーにも力を入れてるからね。どんな世代にも好かれる今世紀史上の神ゲーだね」
先輩の好きなゲームについてはよく分かった。だが、しかし!俺にも譲れないものはあるんだ!
「ドラクエが今世紀史上の神ゲー?ハッ、笑わせてくれますね。今世紀史上の神ゲーはファイナル・ファンタジーに決まっているでしょうが!」
「別に決まってはないと思うのだけれど……」
俺の発言に対して神谷から呆れた声でツッコミが入ってきた。だが、これで終わる私ではない!
「いいや、決まっている。ファイナル・ファンタジー略してFFはな、プレイし終わったらどの作品でも泣いてしまうんだよ!特に零式はやばかった。クリアした時点でストーリーで泣きそうになっていたのにエンディングでの歌がマッチしすぎて号泣しちゃたぞ!それを弟に見られてキモいと言われるまでがセットだった……そう、あれは暑い夏の日の……」
「それ、長くなるやつですか?」
「長くなるな」
「なら、言わなくてもいいです」
「いや、でも」
「結構です」
「……はい」
怖っ!神谷さん怖いわ!どうやったらそこまでの殺気を出せるのでしょうか!?私、気になります!
まぁ、でも俺の話は今回どうでもいいよね。
「神村君も終わったので、次は私ですね。私はあまりゲームに詳しく無いのだけれど一つだけやったことがあります」
へぇー、神谷さんでもゲームするんだな。何のゲームをしたのか、気になるな!
「私がしていたゲームは、ぽ、ポケモンです……」
神谷さんの声は後半に連れてどんどんと小さくなっていった。
くっ!美少女が恥ずかしがっている姿が可愛すぎなんだけど!
いや、待て待て。ここは今日の議題に集中だ俺。
「それでは、一応それについて語ってください」
先輩がそう促すと、神谷さんは話し始めた。
「そうですね……語れっと言われても何を言えば良いのかわからないので、好きだったポケモンについて言います。私が好きだったポケモンはポッチャマです。あの可愛さはもーう世界一です!」
おっと!神谷さんのキャラが壊れてきた気がするけど、気のせいか、気のせいだな!
「それでですね!……ハッ!すいません、お恥ずかしいところをお見せしました」
神谷さんは途中で自分が暴走していたことに気づいたことで、そこで終わってしまった。
とりあえず俺たちは下校時間になったので今日のところは解散ということになった。
……神谷さんはもしかするとオタク嫌いではなくて同族嫌いなのかもしれない。
そんなことを思ってしまう日だった。
オタクが嫌いなあの子にオタクを好きになってもらうまで 春夏秋冬 暦 @phantom214
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