五話
掃除が終わり、午後の授業も無事に受け放課後になった。
今日は部活の活動日であるため部室へと向かう。
はぁ、部活とかきついなぁー、バックレたい。
そもそもなぜ俺が部活に所属をしているかというと、学校の校則のせいである。この高校では校則で在校生は必ず部活に入ることを義務付けられている。特に運動部に興味がなかった俺は中学の頃からの知り合いである先輩が作ったというオタク研究部に入ったわけである。
オタク研究部、略してオタ研は全員で五人いる。一人目がこの部の創立者にして部長である安永先輩、二人目はこの俺神村裕貴である。一応副部長という立場だ。三人目は俺の友達である中村響である。意外にも彼は俺についてきては途中入部という形で入部した。彼はサッカー部にも所属しているため、あまり顔を出すことはない。四人目は我が妹波瑠である。あいつは俺がいるからという理由だけで入部してきた。いや、まぁ、いいんだけどね?部員が増えることはいいんだしね?そして、五人目は意外も意外、学園のアイドル神谷藍花である。
なぜオタクを嫌う神谷藍花がオタクが集結するこの部に入ったかというと、嫌いであるオタクを根絶やしにするには、まずオタクを知ることが近道だと言っていた。根絶やしされる側なのか俺は……
だがしかし、俺の目的を達成するためには好都合だ。
俺の目的というのは、オタク嫌いな神谷藍花をオタク、もしくはオタクを好きになってもらうことだ。
なぜこんなことをしているのかは皆さんお察しの通り、神谷藍花と付き合うために決まっているだろ。
部室の前についたんで、ドアをノックした。
中からはーいという間延びした声が聞こえてきたためドアを開けて部室へと入った。
「ちわっす」
「はい、こんにちわ。って言っても昼休みぶりだからね〜」
俺よりも先に部室にいたのは我らが部長安永先輩だった。
先輩は部室に置いてあった俺のお菓子をバリバリ食べていた。
「先輩が食べてるの俺のです」
「うん、知ってるよ」
「なら、俺に返してください」
「……だが、断る!」
先輩はそれが言いたかっただけなのか、満足そうな顔をしていた。
「……そういうのいいんで返してください」
「ノリが悪いな〜。はい、ほとんど入ってないけど」
「ありがとうござ……どんだけ食ってんすか!」
俺がその事実に驚くと、先輩は得意げな顔で言った。
「ふっ、私にとっては朝飯前だよユトソン君」
「それは女子としてはアウトではないでしょうか?」
その声は俺の背後から聞こえてきた。
振り返るとそこには、女神や天使の類と勘違いしそうになるほど可愛さを持った学園のアイドル神谷藍花がいた。……勘違いするのはおれだけか。いや、案外いるかもしれないな。陰では女神って言われるほどだしな。
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