四話
妹の
「おい、妹よ。なぜ今朝は起こさなかったのだ」
「だってお兄ちゃんが気持ちよさそうに寝ていたから、思わず布団に入っちゃったよ♪」
「入っちゃった♪っじゃねえ!起こせや!」
俺の妹である波瑠はこの年でいまだにお兄ちゃん大好きっ娘なのである。
お兄ちゃん的にはポイント高いんだけど、高校生になってからさらにひどくなってきたためお兄ちゃん少し困っちゃう。
弟の亮にはめちゃくちゃ厳しく接しているから一概にブラコンって言えないんだよなー。
「お前はいつになったら兄離れしてくれるんだよ……」
すると波瑠はもの凄くいい笑顔で言い放った。
「一生無理です♪」
さいですか……俺があきらめたほうが早い気がするなぁ……いや、あきらめちゃダメだろ、俺!
「相変わらずイチャイチャしてるねー」
「先輩……入るときはノックするようにって言ったの先輩なんですからちゃんとしてください。あとイチャイチャしてないです」
「まあまあ、君がイチャイチャしたいのはあの学校のアイドル
この人は先輩の
ちなみにだが、俺の妹である波瑠も俺とは違い顔が整っており、身内補正をぬきにしてもなかなかの美少女であるためよく告白をされるらしいのだが、すべて完膚なきまでに返り討ちにしているらしい。
そして、俺の好きな人である神谷藍花はこの学校のアイドル的存在である。外国人のような綺麗な銀髪に、ものすごく顔が整っており、さらにスタイル抜群というどこのマンガの人?と疑ってしまうほどの容姿を持っているのである。性格もみんなに愛されるほどに優しく、影では女神と呼んでいる人がいる始末。
しかし、そんな彼女にも嫌いなものがあるようで、それがまだデブとかならなんとかなったのかもしれない。だが、現実は残酷だったんだ。
彼女が嫌いなものはオタクであったのだ。どんなジャンルのオタクであっても嫌っているのだ。
つまり、アニメやマンガ、ゲームのオタクである俺が彼女と付き合うのは不可能に等しいと言うことだ。
「なんですか、先輩は俺に止めでも刺しに来たんですか」
こんなことをわざわざ言いに来るなんて、そうとしか考えられない。
しかし先輩は笑いながら言った。
「はははっ、違う違う。ただの皮肉さ」
「おい、わかってて言っていたのかよ!余計にタチわるいぞあんた」
「知ってるよ。ところで妹ちゃんはいつまで裕貴にくっついているんだい?」
「とりあえず昼休みが終わるまでですね」
「今すぐ離れろ!」
波瑠は先輩がこの部室に来てから、俺に抱きついている。
俺が無理やりはがそうとするが、なかなか波瑠は離れなかった。
キーンコーンカーンコーン……
そうこうしている内に昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴った。
掃除に行かないといけないので、波瑠に離れるように言った。波瑠はしぶしぶながら俺から離れた。
「はぁ、先輩はまた後で」
「お兄ちゃん!わたしは!わたしは!」
「お前はバドミントン部があるだろうが……」
「ちぇっ」
不貞腐れる妹に先輩は笑って声をかけた。
「まあまあ、君は家に帰れば会えるだろう?」
先輩に言葉に納得した妹は教室へと戻っていった。先輩も俺にそれじゃとだけ告げて部室を出て行った。
俺も掃除場所に向かい、部室をあとにした。
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