三話
二時間目の休み時間になったところを見計らってから、教室の中へと入っていく。
俺が教室の中に入ると、教室にいたみんなの視線が一気に俺に集まってきた。
はぁ、これだから遅刻は嫌なんだよなー。こうやって遅れてくると普段注目を浴びることに慣れていない俺からしたら地獄以外の何物でもない。
俺が自分の机に座り、次の授業が始まるまで本を読もうと思い、自分のバックから取り出そうとする。
すると、誰かに肩を叩かれたため、仕方なくそちらの方を向く。ホントに仕方なくだからな!か、勘違いしないでよね!……俺は誰に向かってデレているんだ……
振り返ると、そこには同じクラスの同志である
こいつとの出会いは去年の八月、夏休みの時だった。
あの日は大学のオープンキャンパスのためにくそ暑い中外出ていった。
そして、オープンキャンパスも終わってから、自分へのごほうびと思い、アニメイトと向かった。
そのときにこいつと出会ってしまったんだよなー。
まぁ、そのあとに色々あってから今の関係になった。
「遅刻なんて珍しいな裕貴」
……ひとつ言い忘れていたことがある。
こいつはオタクのくせして、めちゃくちゃイケメンなんだよ!
そのせいで俺が女子からトバッチリをくらうなんてことも多々あった。
「ああ、妹の波瑠の野郎が起こさなかったんだよー」
「自分の力で起きる気は無いんだな……」
中村は呆れたような顔したが、それでも相変わらずイケメンなので、ムカつきますね。はい。ぶん殴ってやりたいわ。
「当たり前だろ?俺は養われたいからな。というか、働きたくない」
「出た!ダメ人間発言。高二病だ、高二病」
「違う!お前は知らないのか?昔の人たちはな、毎日十何時間も働いて月で今のお金で言うところの三万あるかないかだぞ!」
「それは昔の話だろ……」
まぁ、昔の人たちの姿を見て学べってよく聞くし、俺は昔の人たちの姿から働いたら負けだと学びました!
「まぁ、いいや。今度からは自分で起きるようにしろよな」
「前向きに善処していくように検討するわ」
「それは絶対にしないやつの台詞だよ……」
中村はそういってから、来るときも爽やかに、そして去るときも爽やかだった。
やっぱ、イケメンは死ぬべきだと思うこの頃でした。
中村が去ってからちょうど三時間目の授業が始まった。
授業は数Ⅱ、たくさんの数字やら記号やらが黒板に書かれていくのを見て、だんだんと眠くなっていき、俺を襲った眠気に勝てずに寝てしまった。
次に目を覚ますと、昼休みになっていた。
おい、ちょっと待て。
三時間目は寝てしまっていたが、四時間目に入る前に誰も起こしてくれなかったぞ。俺は嫌われているのか?誰か起こしてくれよ、ただでさえわからない英語だったのに……
とりあえず教室で弁当を食べるのは気が引けたので、俺は教室を出てからいつもの場所へと向かった。
いつもの場所というのは、俺が所属しているオタ研というもはや何の部活か分からないような部活の部室である。
その部室は教室棟ではなく、技術棟の三階にあるため、渡り廊下を渡り階段を上っていく。
部室の前に着き、一応ドアをノックしたが返事がなかったので、普通に中へと入っていく。部室の中は高校生男子の部屋のように、マンガやゲーム、ラノベなどで溢れていた。
奥のほうにある椅子に座り、机の上に弁当を広げてから食べ始める。
「いただきます」
弁当に箸をつけてから、どんどん食べ進めていく。
「ご馳走さまでしたっと」
思った以上に弁当がおいしくて、つい食べることに集中してしまった。さすがはお母様だな。めちゃくちゃおいしかったです。
食べ終わると暇になってしまったので、部室にあったラノベを一巻からよみはじめた。
しばらくそうしていると、誰かが部室のドアをノックした。
「はい、どうぞ」
「失礼しまーす」
入ってきたのは、俺の妹でこのオタ研の部員である波瑠だった。
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