7
扉を閉め、階段を登ろうとしたとき、扉板に書かれた意味がようやくわかった。
『扉をあけるな』とそう書かれていたに違いないとはじめは推測した。
一階にたどり着き、館から外に出た。雨が上がり星空が見えていた。
持ってきたリュックの中身もほとんど使ってしまい、三人は学校の校庭から帰路に向かった。
家に帰ったはじめは、巨大蜘蛛に巻かれていた『赤いリボン』のことをずっと考えていた。しばらくあの館に行かなかったことの本当の理由を、自分の心に封印しているように思えた。
ひとりの少女が頭に浮かんできた。が名前は出てこない。彼女とあの館で一緒に遊んだ記憶がはじめにはあった。
一学期の終業式が終わり、はじめは母方の実家へと引っ越すことになった。もうあの館に行くことはその後なくなった。
結局、巨大な蜘蛛にリボンが巻きついていた謎も、あの大きな箱の中身も謎のままになった。あの巨大な蜘蛛は、どうしてはじめたちを見逃したのか。
ただ、はじめは、あの館のことをきっかけにして大きな度胸と物事への信憑性を確かめることは、大人になるために重要だ、ということを身にしみて感じた。
完
Don’t open it!(それを開けてはいけない!) 芝樹 享 @sibaki2017
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます