最終話
1
翌日、久能秀隆とソフィアは病院の一室にいた。
そこにはデイヴィット・クーパーがベットに横たわり、そばにはキャシーとミシェルがいた。
『どうだ、体の調子は?』久能が問いかける。
『巨大化している時に比べたら全然マシだ』
『すまない、君のガンまでは救えない・・』久能は申し訳なさそうに言った。
『いいんだ、これはオレの人生だ 逆に君に感謝を言いたい』
『?・・』久能は意味がわからず首をかしげた。
『君のおかげで、最後は家族と過ごせる』
そう言うとクーパーはキャッシーとミシェルの方を見た。
2
『本当に良かったの?』病院を出た、ソフィアは久能に問いただす。
『何がだ』
『これでもう元の体に戻れないのよ』
久能はその問に答えることはなかった。
*
◇ホテルの一室
『サンズ・ケミカル社のオリバー・デッドウェルは非認可の投薬を行った罪とそれを隠蔽しようとした罪で緊急逮捕した』
佐渡の指示を受けて、エージェント7が緊急逮捕に向かったとのこと。
『そうか・・』
『シドニー市警は怒ってたがな』
『ZACKはいつも強引だ』
『良かったのか?』
『ソフィアと同じことを聞きますね』
『あの薬は最初で最後のチャンスだったんだぞ』
『佐渡さん、オレは今回のことで気づいたことがある』
佐渡は黙って久能を見ていた。
『オレは今まで、この力を恨んでいた そして誰にも気づかれないようにひっそりと暮らしていた・・ただ、静かに暮らすことを望んでいた』
久能は一息つくと続けて語りだす。
『だけど、気づいたんだ この力だったからこそ救えることがあると』
佐渡はまだ黙ったまま久能を見つめていた。
『オレをZACKに入れてください』
3
数日後
◇シドニー国際空港
『短い間だったけど、いい経験が出来たわ』ソフィアは空港で久能を見送りに来ていた。
『ソフィア、、もし良かったら・・』そう言いかけたところでソフィアが遮った。
『それは貴方の進む道よ、私の道ではないわ』
『ソフィア・・』久能は心配していた、彼女は死に場所を探していたからだ。
『大丈夫、もう死のうなんて考えてないから』
『そうか』
『私は私の道を見つけるわ』
『クーパーのことは心配するな、大丈夫だ』ディクソンの姿もあった。
『薬の不正投与によるものだったから、彼は罪に問われない 街の損害賠償うんぬんについてはサンズ・ケミカル社が負うことになるだろう』
『そうか、ありがとう』
久能とディクソンは固く握手を交わした。
久能はソフィアとディクソンと別れを告げ搭乗口に向かった。
*
◇太平洋のどこか
日本企業の船が海賊に占拠されたとの一報を受け、上空をZACKの大型輸送機が飛んでいた。
中にはZACKの特殊部隊である”ジェネシス”と久能秀隆、ブラックカイトこと黄昏貴美子が乗っていた。
『人質の救出が最優先よ』ブラックカイトがジェネシス部隊に念を押す。
『オレが先に降りる、合図したら後に続け』久能はそう言うと、ジェット機の後方パッチを開けた。
『では後ほど』そういうと久能はそのまま飛び立った。
『あいつ!パラシュートなしで飛んだぞ!』ジェネシス隊員が声を上げた。
ブラックカイトは笑みを浮かべて答える。
『
THE END
◇T都内:ZACK本部
ZACK本部の巨大スクリーンには驚愕の光景が映し出されていた。
スクリーンにはHK道の最北端の草原が広がる映像から始まっていた。
『今から約15分前にZACKの衛生が捉えたものです、映像の上の方に注目してください』
映像には上空に少し亀裂が入っているのが見えた。
『スクリーンの亀裂ではないのか?』
『いいえ、このあとに注目してください』
佐渡が注目していると亀裂は徐々に大きくなってきており、その奥には表現しづらいほどの漆黒の闇が確認できた。
そして次の瞬間、その亀裂の隙間から黒い物体が飛び出してきた。
『なんだ・・あれは・・』
それは真っ黒な羽の生えた怪物だった。
ZACKの職員は全員、驚きと恐怖に襲われていた。
佐渡も少なからず驚きを隠しきれずにいた。
しかしすぐに冷静さを取り戻した。
『予定より早くチームを呼ぶことになりそうだな』
ー 物語は”アッセンブル”へ ー
RED BARON -the four power- RALPH novels @ralph
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます