第45話 罪滅ぼしと尊厳《ジルフォード視点》
お久しぶりです。毎度毎度すみません……。
ジルフォード視点です。
今話は人物紹介をご覧になってからの方がすんなりお読みいただけると思うので、お手数ですが、是非そちらに目を通して頂ければと思います。
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―――私は先程何て事を言おうとした?
珍しく自分の行動に動揺して、背もたれに寄り掛かり深い溜息を零した。ジゼルが退出した後のこの部屋は、驚く程にしんと静まり返り、差し込む夕日が虚しさを増長させている。
「私は王子だ」
瞼を閉じて三つ数えた後、ゆっくりと開いた私は、デスクに向かい報告書を見直した。
私達のグラスに毒物を混入させたは、あの時不自然にやってきたウェイターだった。しかしウェイターの意思で行ったとは考えにくい。
尋問するべく直ぐに本人を探し出し、見つけたと思いきや彼は既に何者かに殺されていた。ウェイターの雇用先を調べると、クリストファーの側近ユリウスが名を連ねる家――アベルティ伯爵家だった。
普通ならばその時点でアベルティ家の断罪が決定されるのだが、王子、有力貴族の令嬢、そして王子の従兄弟が殺されかけたという事もあり、今回は直ぐに断定出来ない。
アベルティ家の位置は中の中だ。公爵家のトップに君臨するレヴィロ家に単体で敵対するとも現時点では考えられない。それにアベルティ家はレヴィロ家、特にクリストファーとその父――私の叔父の生粋の信奉者だ。それならば邪魔な私とリズだけ消せばいいだけ。わざわざクリストファーのグラスに猛毒を仕掛ける必要は無い。
またジゼルとクリストファーのグラスを渡し間違えたという事も無いだろう。回収した物を調べれば、ご丁寧に小細工をしてあった。相手が相手だ。厳重に警戒しながら殺る筈だ。
何度考えてもアベルティ家が首謀者とは思えないので様々な伝手を使って黒幕を調べているのだが、あまり大きく事が動かない。何か大きな力が働いていて、私達の動向を妨害しているようにも感じる。
そしてそれが――レヴィロ公爵家だと、私は睨んでいる。
自分のクリストファーに対する印象が元々悪いせいもあるだろうし、ジゼルを横から飄々とかっさらっていった彼奴に対する嫉妬でもあるだろう。
だがそれを抜いてもレヴィロ公爵家は怪しい。
しかしそれをおいそれと口に出す事は許されない。信憑性に欠ける不適切な発言は容易にするものでは無いのだ。
「必ずこの手で犯人を炙り出してやる」
リズをこんな目に巻き込んだ事への贖罪と、王族の矜恃を胸に、掌を強く握り締めた。
「私から逃げられると思ったら大間違いだからな」
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柊月
何故私が王子妃候補なのでしょう? 柊月 @hiiragi-runa-6767
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