通販サイト、グルメ情報サイト、旅行サイト…様々なサイトに基本的な情報に加えて存在するもの、それがレビュー。カクヨムも御多分に漏れず、おすすめレビュー(今まさに読まれているコレです)が存在します。一部ではメインの情報ではなくレビューの方を目当てにネットの海を彷徨う人々もいるとかいないとか…好評、悪評、戯評に珍評、確かにそれ自体がコンテンツとなる場合もあるでしょう。
本作はまさにその「レビュー」を形にしたものです。本文無し、商品情報殆ど無し…あるのは商品名と値段、そしてそれに対するレビューのみ。「そんなものが面白いのか?」と思われるかもしれませんが、これが中々いけるもの。
本作で重要な点は、商品が"異世界の品"であるということ。聖剣、ポーション、呪いの玉座…それらに日本円で値が付けられているのです。ゲームの中で普通に売買した覚えがあっても、改めて日本円で、それもなんともありそうな値段になっていると、「おや?」と首を傾げる新鮮さがあることでしょう。
そして肝心要のメイン商品、購入者のレビューが、非常に"ありそう"なのです。見たような聞いたような調子で、異世界由来の商品について批評している文を読むと、日常と非日常の境界が揺らぐような、なんとも不思議な感覚に陥ります。
先程も書いた通り、読者が知れる商品情報は名前と値段のみ。後はレビューから推測するしかありません。あるレビューを読めばよさそうに思え、またあるレビューを読めば微妙に思え、中には商品以上に気になることが書かれ、そっちの方に気を取られてしまう…結局その商品が一体どんなものなのか、購入者がどんな世界に生きているのか、はっきりとしたことはわかりません。ですが、ひたすらに想像力を刺激される読み応えは、普通の小説では味わえないものであります。
長々と書いてしまいましたが一言で纏めますと、一風変わった面白さをお求めの皆様にオススメな作品です。きっと★をつけたくなると思いますよ。
様々な商品に対して並ぶ、評価の星とコピーとレビューの数々。
そんなどこの通販サイトでも見られる普遍的な光景も、
ファンタジーな世界のものとなればなんとも素っ頓狂なものに早変わり。
岩で梱包された聖剣、ヒールポーションの味事情、魔王様方の玉座評価……。
特にオススメは第四回の『ヴォスフォワールの魔書』
古びてきた商品に浴びせられる容赦のないレビューと
それはさておきお前ら誰なんだよ感が
なんともいえない『どこかで見た』風景過ぎるのだ。
そしてそんな言葉の端々から見える、
そこに生きる人々のリアルな生活や冒険の断片。
あるパーティのそれぞれの人々や旅立つ勇者とその友人の友情、各世界の魔王の心境。
それらは次第に見えない糸で結ばれて、言葉の向こうの冒険を描き出すのである。
ここにあるのは、まさにもう一つの世界の人々の生きざまそのものだ。
このレビューを書いた時点で、六話まで拝読しました。
異世界に通販サイトがあったらレビュー欄はどうなっているだろう? という着想がまず面白いんですが、それを一発ネタに終わらせずに、コンスタントに笑わせていくのがすごいですね。つよい。
話数が進んで行くにつれて、さりげなくレビュー者同士の関係性が見えてくる作りには「おおっ」っとなりました。
行間というか、書かれていないことに想いを馳せるのが楽しくて、ついつい読んでしまいます。
そういう「想像力を刺激して楽しませる」という点で、これはただのレビューの羅列ではなくて、まさしく小説なのだなぁと思いました。
今後の展開に期待しています。
ウチも配送、対応してください!!!
……という冗談はともかく(笑。
本編完結おめでとうございます。
更新、とても楽しみにして、また、とても癒させていただきました。
実際の通販サイトのレビューを読むのが割と好きなので、このアイデアや着眼点は本当にすごい! ナイス! と思いながら読んでいました。
簡潔かつ短い文章の中に、商品の強みや弱みだけではなく、レビュワーの人柄や、人間関係が凝縮しております。
読んでいくうちに名前を見なくとも、「あ、この人だ!」とわかってきちゃうところがまた魅力。
ファンタジックアイテム満載。勇者だけでもなく魔王様もご利用中。
……スタッフの皆様のプロ意識に脱帽! お疲れさまでした!
本編完結後に友人が呟いてたのを見て読了。
通販事情から垣間見えるファンタジー世界の面白さに、一気に読んでしまいました。
通販レビュー欄を覗いているだけなのに、そこから登場人物たちの言葉の裏に世界の背景や人間関係が見えるのが斬新で、そして面白かったです。
レビューサイトあるあるから始まり、レビューから想像できるコミカルな情景はクスリと笑え、また商品を通して登場人物たちが敵味方の垣根を越えて協調したりしていく様は見ていて少し涙が滲んでしまうほどに心地良い物でした。
ただ物語の性質上登場人物が多くて外見描写も困難な為に一人一人の特徴を覚えるのが難しいことと、コミカライズなどのメディア展開が難しい形式かな? と思ったことで、厳しめに★三つとしてしています。
読み終えた後に、読んで良かったと思える作品でした。
作者の方の今後の作品にも期待!
通販を利用する人なら、一度はこの『レビュー』というものを目にしたことがあるかと思います。
ひたすら使用感を熱っぽく語ってくれる人、
少々嫌味っぽく皮肉混じりで褒める人、
自分なりの使い方や工夫点を教えてくれる人。等々。
わかるわかる!こんなレビューあるある!
が、しかも、舞台は異世界!
面白くないはずがありませんよ!!!
読んでいくうちに見えてくる人間(?)模様に、まさかのストーリー展開!
最初から最後までレビューなのに(最後3話は登場人物紹介ですが)、ちゃんとストーリーがあるんです!
あなたもきっと通販サイト『Isekai Prime』の豊富な品ぞろえに驚くはずです!そして、個性的すぎるユーザー(レビュワー)達にも要注目!です!
通販サイトといえばレビュー、口コミ!
そう、皆さんが某サイトできっと目にするであろうあれ。この作品はそんな購入者達のレビューの異世界版です。
通販サイトならではのあるあるな口コミ。レビューの面白さはもちろんのこと。読み進むにつれて「あれ、この投稿者ってもしかして……」と投稿者同士の関係も楽しめます。ちなみに異世界ならではの商品は名前や値段、レビューから想像することしかできません。
レビュー一つで良くも悪くも印象が変わる商品達。投稿者の使用方法や工夫にクスリと笑ってしまうことも。ファンタジーな好きな方はもちろん、商品を選ぶ時についつい通販サイトのレビュー欄を読んでしまう方にもオススメしたいです!
……ヒールポーションと宵闇のマント リバーシブルタイプ、私もほしいなぁ
ファンタジー風の世界へ商品を配達する通販サイト『Isekai Prime』。そこに書きこまれた商品レビューだけで構成されているという異色の作品がこちら。
異世界に向けた通販サイトだけあって扱われる商品は聖剣、ポーション、魔導書などそれらしいものばかり。なのにレビューの内容は妙に生活染みているものや、商品自体ではなく梱包に文句をいうもの、一見賞賛しているようで★は一つという褒め殺しタイプ……などなど現実世界でも見かけそうなレビューが並んでいるというギャップが楽しい。ギャップといえば、“混沌の渦”“夜を喚ぶ者”“忍び寄る災厄”などなどやたら物々しい二つ名とは裏腹に丁寧な口調でレビューを残す魔王たちが印象的で、通販の商品レビューだけでキャラクターをしっかり表現することに成功している。
また商品レビューの裏側で物語がしっかり進んでいくのも大きな特徴。ひとつひとつのレビューの内容から異世界の住人の日常が間接的に伝わってくると同時に、続けて読んでいくと彼らの世界に異変が起き始めているのがわかる構成が実に見事。そんな世界でもしっかり商品を届けてくれるんだから通販サイト様には頭が上がりませんわ……。
(「インターネットの向こう側」4選/文=柿崎 憲)