女3人

勝利だギューちゃん

第1話

「ねえ、あかり、今度の放課後空いてる?」

クラスメイトの、真奈の声をかけられた。


「空いてるけど、どうして?」

「彩(あや)とケーキバイキングに行くんだけど、あかりもどう?」

「いいの?」

「もちろん、3人で行こう」

こうして、真奈、彩、そして私あかりの3人で、ケーキバイキングに行くことになった。


お店では、同じ事を考える人が多いのか、女の子でいっぱいだった。

「男の子は、入りにくいよね。かわいそう」

「そうだね。甘い物が食べられないなんて、かわいそう」

真奈と彩は、ふたりで談笑している。


私は、ふたりを眺めるだけだった。

もちろん、仲間外れにされているわけではない。


食べるのに夢中で、会話に入らないのだ。


「あかり、本当に美味しそうに食べるね」

「ほう(そう)?」

ケーキを口の中に放り込んでいる私は、上手く話せない。


「あかりは、痩せてるよね?」

私は紅茶で、口の中のケーキを流し込んだ。


「そうなんなことないけど・・・これでも、結構重いのよ」

「何キロ」

「50キロ」

「えー、見えない」

ふたりは驚いた。


しばらくして、店を出た。

「ねえ、これからカラオケ行かない」

「行く行く」

こうして、3人でカラオケに行くことになった。


室内に案内される。

思春期の女3人が集まれば、唄う曲は流行りの歌になる。


「ご注文が決まりましたら、お知らせください」

店員さんにそう言われて、承諾する。


それぞれの飲み物が決まり、室内の電話で報告した。

もちろん、食べ物も忘れない。


程なくして、部屋をノックする音がした。

「ご注文、お持ちしました」

「ハーイ」

そういって、ドアが開く。


でも、妙だった。

店員さんは、バイクに乗る時に被る、フルフェイスのヘルメットをしている。

そして、手袋をはめている。


声も、変えているようだった。


「アイスティーの方」

「私です」

真奈が答える。


「オレンジジュースの方」

「私です」

彩は答える。


「サイダーの方」

「私です」

私は答えた。


それぞれの前に、飲み物が置かれ、中央に食べ物が並べられる。


「では、失礼します」

そういって、店員さんは部屋を出た。


その時、真奈が声をかけた。

「どうして、ヘルメットをしているんですか?」

「いえ、個人的な趣味です」


続いて、彩がいう。

「ばらたらまずいの?柳くん」

「うん、うちの高校はバイト禁止なので、同じ高校の人がいるとまずい」


「やはり、柳くんだったので」

「どうして、ばれた?」

柳くんは、ヘルメットを取った。


「おのれは、クラスメイトを何だと思ってる」

3人で、怒った。いや、叱った。


柳くんは手を合わせる。

「お願い、この事はご内密に」


女3人で相談した。

「わかった。内緒にしておいてあげる」

「ほんと!助かる。


「そのかわり・・・」

柳くんにマイクを渡した。


「一曲唄いなさい」

「でも・・・」

「唄わなきゃ、言いつけるわよ」

「わかった、唄う、唄わせていただきます」

こうして、柳くんの唄を聴いた。



ものすごく、上手かった。

彼は、慣れているのか?

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女3人 勝利だギューちゃん @tetsumusuhaarisu

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