生まれてから21年間、会ったことのない父から突然SNSで連絡がきた

かえ子

第1話

兄と私は母が10代の時に生まれた

2人とも父親が異なり種違いだ。母はとても情熱的で若く美しかったのでとにかくモテた。捨てた男の数は知れず、少し儚いところが男心をそそるのだろう。

そして何より細身に関わらず胸が大きくスタイルがとてもよかった。


母は兄を15歳の時に身篭った。

彼女は当時世で言うヤンキーだったようだが結婚相手もヤンキーだったかというとそうではない。兄の父親は当時30代、当時女子高生だった母が働いていたファミレスの店長。

そのせいか私が高校の時に飲食店でバイトをしようとした時には全力で阻止をしてきた。腰の曲がったおばあちゃんが1人で切り盛りをしている喫茶店でもダメだったくらいに。

母の妊娠&出産は親戚中でも大スキャンダルだった。兄の父はファミレスの店長には似つかわしくない高学歴だったことから、大手企業の役員だった祖父のつてで彼は程よい会社へ転職し2人は無事に結婚。

しかし交際2年、結婚生活1年で2人は別れた。様々な事情が重なり兄は育児放棄され私の祖父と祖母が育てることになる。それからしばらく経ち母は父と出逢うのだ。


父は母が働いていたキャバクラの客だった。当時2人は18,19歳。少し脂ぎったようなおじさんが多いと思われるお店に、アメリカと日本のハーフであるハンサムな若いスラっとした青年はきっと目立ったに違いない。彼らが恋に落ちたのはすぐだった。

父は独立して大工を営んでおり数人の弟子を雇っていた。母は

「とにかくお人好しで困っている人がいたら放っておけない人。大工の仕事も日本語もよく分からないような生活に困窮している外国人を無駄に雇ったり火の車だった」

と言っていた。私を産んでからも経済状況は変わらず大変で生後8ヶ月を過ぎた頃に離婚した。原因は母に他に好きな人ができたからだ。その後も蝶のようにひらひらとパートナーを変えていった。なにかの拍子に私は母に叫んだ。

「本当のお父さんの顔がみたい!!」

「あの人の顔や声の入った写真やビデオはとうに焼き尽くしたわよ」

という言葉が当時小学校低学年であった私には残酷に聞こえた。母にとっては過去の人でもう終わった話にしかすぎない。しがみついていたのは私だけだった。

(世の中には両親を知らない 、身寄りのない子供もいるのだから私は恵まれている。実の父親を詮索したら今、養ってくれている母の彼に失礼、、、)

そうやって自分を納得させて本当の気持ちに蓋をしたまま過ごした。


21歳を迎えたある日、突然真夜中にFacebookを通じてある女性からメッセージが届いた。

「突然ですみません。知り合いにソックリで誕生日3/15ですか?」

私の誕生日で正しかったがなにかの詐欺かと思い薄気味悪かったので無視をした。

5分後にまた1通。

「本当にすみません。沖縄からです。心当たりありますか?」

私の実父は沖縄の人で祖父はアメリカ人らしい、と思い浮かんだが怪しいのでまた無視を続けた。すると翌朝また1通。動揺した。

「かえ子さん(実際には私のフルネーム)を探してます。お父さんが今沖縄にいます。間違えてたらすみません。 〇〇さんとの間に生まれたかえ子さんを探しています。違いますか?」

〇〇には母の名前が書いてあった。母はSNSなど一切やっておらず私は母のことを一切ネット上に書いていない。まぎれもなくそれは父からだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

生まれてから21年間、会ったことのない父から突然SNSで連絡がきた かえ子 @isono315

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ