Extra story

*call my name*

「貰ってほしいの」


 渡されたのはお守り。中には彼女の髪が入っているらしい。

 どうせ手術したら髪は無くなるから、そう言った彼女は、どこか寂しそうだった。


「重いかな」


「そんなことないよ。道永さんの手術が上手くいくことを俺も願っているよ」


「……ずるいよね、私は。清治くんを困らせてるのも知ってる。名前とは違って黒いんだ」


「俺は……道永さんは名前のように真っ白な心を持っていると思う」


「言うようになったねぇ、清治くん」


 だって、仮だとしてもあなたの恋人だから。

 そんな恥ずかしい台詞は言えるはずもなく、黙ってしまう。


「じゃあ、もう一つ我儘を」


「何?」


「名前で呼んで。恋人なら名字はおかしいでしょ?」


 正直、面食らった。

 かなり勇気がいったが、口に出せたと思う。






 なぜなら、彼女の頬が赤く染まっていたから――。

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道永真白は黒なのか 相心 @aishin

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