蹄のこと

馬は蹄が命なのよん

蹄なくして馬なし

「蹄なくして馬なし」という言葉がありますが、実は、シェルを持つ以前は、そこまで大事には思っていませんでした。

 蹄鉄さえついていれば、何でもいい……とまではいかないものの、装蹄師の腕前など気にすることもなければ、クラブで頼んでいる装蹄師さんにお願いしておけばいい、私の管轄ではない、と思っていました。


 ……が、シェルは蹄に敏感で……というか、今まで私が鈍感すぎて、馬が悲鳴をあげていても、てんで気がつかないだけだったのか……。


 とにかく、シェルを持ってからは、メチャクチャ蹄については勉強し、かつ、装蹄の際は必ず付き添い、装蹄師さんに質問を浴びせつつ、じっと観察するようになりました。

 黙々と仕事をしたい装蹄師さんなら、本当に邪魔臭いオーナーでしょうね。



 最初、付き添うことにした理由は、装蹄を見たいからではなく、シェルが装蹄を嫌がり、鎮静剤を打ちたい、と装蹄師さんに言われたからでした。

 当初、原因はわかりませんが、シェルはまるで犬がおしっこをする時のように、後肢を高々とあげて、ブルブル震えるところがあり、装蹄の際、とても危険だったのです。

 精神的なものなのか、神経からくるものなのか、原因はわかりません。

 釘を打つ時にもずっと足がブルブル震えているので、手が定まらず、危険と言われ、じゃあ、じゃあどんなものか見ます……が、きっかけです。

 私がついていると、少しは安心するのか、沈静する必要なく、装蹄が出来ました。以来、ずっと装蹄を見守ることとなりました。


 シェルに乗るようになるまで、私は、途中で落鉄しても気がつかず、そのまま乗り続けるようなライダーでした。

 ところが、シェルは釘1本抜けて鉄が若干緩んだだけで、ガラッと動きが悪くなるような繊細なところがあり、そのまま乗っちゃえ! なんていい加減を許してくれません。

 弱い蹄ではありませんが、薄くて、過敏なのです。

 しかも、装蹄の良し悪しで、立ち腫れがよくなったり悪くなったりするものですから、私も蹄に気を遣うハメになってしまったのです。


 もちろん、何もかも装蹄のせいではありませんが、シェルの場合、装蹄次第な部分が随分とありました。

 今現在も、装蹄にはずいぶんと気を使っています。

 装蹄師さんも、口うるさいオーナーで、プレッシャーでしょうね。

 申し訳ないですが、宿命だと思ってください。


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Le Ciel Bleu 〜君が私に教えてくれるいくつかのこと わたなべ りえ @riehime

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