おなかを壊すのは命取りなのよん
疝痛
馬がおなかを壊すのは命取りだ。
悪いものを食べても吐けないし、胃が小さくて腸が長い構造なので、腹痛を起こしやすい。
馬の腹痛を
シェルは、今まで1回しか疝痛を起こしていないから少しは安心できるけれど、疝痛もちの馬を持っている人は、気が気ではない。いつも心配して、気を使っている。
今までにんじんの食べ過ぎで疝痛を起こした馬は見たことがないけれど、馬にとっては嗜好品であり、健康管理上、さほど好ましい食べ物でもないことから、食べさせるのを嫌がるオーナーさんもいる。
馬が喜ぶからといって、自分の馬ではない馬に無責任に何でもおやつを与えてしまう人が、乗馬クラブでよく思われない理由の一つだ。
獣医ではないので、本やネットで調べてわかる程度の知識しかない。
なので、ここでは詳しい説明を省くが、経験上、大きく分けて2種類の疝痛がある、と思う。
一つは助かる疝痛、もう一つは開腹手術をしない限り助からない疝痛だ。
残念ながら、助けられる時間までに手術に踏み切れる環境にあるところは少ない。
オーナーへの連絡・決断、馬運車の手配、輸送時間で時間オーバー……そもそも馬の開腹手術ができる施設はあまりないのだ。
だから、かわいそうだけれど、後者は見殺しになってしまう場合が多い。
獣医さんを呼んで下剤を投与したり、運動をして腸の動きを活性化したり……という治療をする。
便秘やお腹にガスが溜まっているのが要因なら、痛がる馬を引き馬をして、何とか歩かせて、それでボロ(フンのこと)が出て、よくなったりする。
が、これが腸捻転だったりすると、紐の結び目が振り回して解けるよりもより締まるように、むしろ、悪化したりしてしまう。
だが、手術という選択肢がない場合、腸捻転じゃないことを祈って、延々と引き馬するしか方法がないのだ。
いや、もう一つ方法があった。安楽死だ。
疝痛を起こした馬は、非常に苦しんで七転八倒する。体は血だらけになり、激しく前かきして、火花が散るほど、少しでも楽になりたくて、犬のお座りのように座ったり、お腹を上にしてひっくり返ったままになったり。命が尽きるまで苦しまなければならない。
助けられないのであれば、早く楽にしてあげる……というのも愛情かも知れない。
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