第20話 初クエスト


 冒険者登録をした次の日、俺は再び冒険者組合に来ていた。さっそくクエストを受けようと思ったからだ。


 組合に入ってすぐ右の壁に大きな掲示板がある。そこにはたくさんのクエストが貼ってあった。どんなクエストを受けようか、とりあえず昨日の初心者講義で習ったものを活かせるクエストがいいんだけど…。


 『ゴブリン退治』 『町の掃除』 『薬草採取』・・・


 「お、いいのあるじゃん」


 そうして、俺が選んだのは『薬草採取』のクエストだった。昨日の講義で薬草の見分け方も習ったし、実際に採ってみようと思ったのだ。


 クエストの紙を持って、受付に行く。昨日、登録してくれたお姉さんのところに並んだ。


 「あら、クラウン君。いらっしゃい」


 「こんにちわ、あの、このクエスト受けたいんですけど」


 受付の人はみんな制服を着ていて、胸のところに名札が付いていた。どうやらこのお姉さんは『ライラ』っていう名前みたいだ。


 「ええ、いいわよ。頑張ってね」


 「はい、行ってきます」


 クエストに行く予定だったから杖は持ってきたし、お昼ご飯を買えるだけのお金は持ってきた。


 この世界のお金はマーロという単位で使われ、レートはだいたい日本円と同じくらいだ。1円=1石貨、10円=1鉄貨、100円=1銅貨、1000円=1銀貨、1万円=1金貨だ。1円=1マーロだな。


 そうだ、早めに帰るために薬草が多めに生えてるところを聞こう。


 「ライラさん、薬草の多めに生えてる場所って知ってます?」


 「そうね、王都の西門から出て、北西方向にすこし行ったら、森があるからそこなら多めにあるはずよ」


 「そうなんですね、ありがとうございます」


 パパッと採ってパパッと帰ろう。



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 王都には4つの門があり、それぞれ東西南北の名前が付けられている。方向も日本にいた頃と変わりないし、まあ勇者の影響だろう。


 西門へ向かう途中でお昼ご飯も買ったし、門から出たらダッシュして向かおう。まあダッシュって言っても縮地だけど。ご飯がぐちゃぐちゃにならないように気をつけてダッシュだ。


 すこし歩いていたら門に着いた。衛兵に、昨日講義のときにもらった登録証を見せて、門の外へ出る。そして北西方向に向かって縮地をする。


 途中、走っていた馬車とかを追い抜いて、王都の外の森にたどり着く。ここに薬草があるはずだ。今回のクエストは持って帰った分お金がもらえるから、たくさん持って帰ろうと思う。


 講義では持って帰るのは葉の部分だけだと習った。葉だけ採ると、また生えてくるのだそうだ。


 持って来た袋に、草を千切って入れ、千切って入れ…。袋の半分が埋まるくらいまで入れた。これくらい入れたらまあ、いいだろう。


 次は魔物討伐にしようと思いながら、立つと前にダッシュ。背後から急にガサゴソという音がしたからだ。そしてわずかに感じ取った魔力から、相手は魔物だということがわかった。この世界の魔物は魔力が流れている。だから魔力を感じ取れれば、そいつは魔物というわけだ。


 現れたのは狼。フォレストウルフだろう、村の森にも現れた。


 「ふんっ!」


 狼に向かって縮地。杖に砂鉄を集めてブレードをつくり狼の首元を切る。切られた狼を首は地面に落ち、身体も倒れる。何の苦労も感じない戦いだった。でも、倒したのはいいけど、どうやって持って帰ろう…。まあ、磁力で浮かせればいいか。


 狼の身体に極を付与し、俺と反発と、引き寄せを同時に行いながら森から王都へ帰る。


 門に着いたのは昼1時間前くらいだった。衛兵に登録証を見せ、中に入る。なんかすごい目で見られた。


 そのまま組合まで行き、ライラさんのところまで行く。


 「帰りました、ライラさん」


 「え、ええ。お帰り、クラウン君。そのフォレストウルフどうしたの…?」


 「なんか襲ってきたんで、倒しました。あ、あとこれ、薬草です」


 カウンターに薬草の入った袋を置く。


 「は、はい。クエスト完了です。お疲れ様でした、フォレストウルフのほうは解体の受付に持って行ってね」


 「はい、お疲れ様でした」


 解体のほうへ行くと、すこし驚かれたが、まあ普通に対応してくれた。フォレストウルフを売ってお金をもらう。『薬草採取』の分の報酬と同じくらいだった。やっぱり次からは魔物討伐を受けようと思って、組合から学園の寮に帰る。


 初クエストはつつがなく、たいしたイベントもなく終わった。




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 あとがきです!


 どうも作者です。またしても遅くなってすいません。どうも手につきませんでした。それはそうと、PV数800越えありがとうございます!これからもぼちぼち頑張っていきます!

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マジカル・マグネ 蒼兎 @bluerabbit

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