あかねから返信はない。


省吾しょうごは椅子から立ち上がると、おもむろに外の景色を眺めた。


窓の向こうに、微笑みを浮かべて道路に立つ、あかねの姿が見えた。


激しい感情に突き動かされ、省吾しょうごは窓を開けてベランダから飛び降りた。


体を丸め、ギュッと両腕で抱きしめると、不安な気持ちは消えていった。


その刹那、全身に稲妻のようなものが走り、省吾しょうごの体から流れ落ちた液体がアスファルトの地面を濡らした。


偶然そこを通りかかったあかねの友人は、何も見なかったことにして、すたすたと横を通り過ぎた。


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この小説は成長する 沖野唯作 @okinotadatuku

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