人物像なんてミステリーに必要ねえんだよという作者の言葉が聞こえてきそうな作品です。
極限まで洗練されたミステリーと言えばいいのか、なんと表現するのだろう。小さい頃に解いた「嘘つき探し(Aは自分が正直者だと言った、BはAが嘘つきだと言った、CはAが嘘つきでBは正直者だと言った…みたいなやつ)」の問題に近いようにも感じた。とにかく、単純に理論的にストーリーを組み立てる感覚を味わえるのが面白かった。前提条件にいくつか不確定要素があるものの、それらを筋が通るように(言い方を変えれば都合の良いように)自分で話の流れを組む感覚を味わっていただきたい。