人の心を読む覚《さとり》が欲するものは――。

家族の借金のために一年間高校を休学して、大邸宅の朝比奈家で住み込みの家政婦をすることになった紅葉。

そこには巨大猫のフジコ、尋常ならぬ妖気を漂わせている梅さん。そして、人の心を読む覚《さとり》の力を持つ美形三兄弟、千弥、廉弥、悠弥がいた。

……なんだか妖怪屋敷のような紹介になってしまいましたが、あながち間違っていないような気もします(笑)

ストーリー的には決して笑いごとでありません。美形兄弟に囲まれての逆ハーレム? なんてニヤニヤしている場合でもありません。それどころじゃありません。←

けれど、深刻な展開でも重苦しい雰囲気にならないのは、やはりキャラクターの力でしょう。明るくパワフルで物怖じしない主人公の紅葉をはじめ、登場人物たちが皆とにかく魅力的で楽しい。

中でもね、梅さん。紅葉にはもはや人外あつかいされている梅さん。わたし、梅さんが愛しくて愛しくてしかたありません。その強烈なキャラクターはぜひ本編で確かめてください。

ドラマ性とキャラクターの魅力と、それをあますことなく読者に伝える繊細な描写力。最後まで飽きさせません。ぜひ読んでみてください。

その他のおすすめレビュー

野森ちえこさんの他のおすすめレビュー1,942