Extra Gear/Apocalypse of the Moon

Corydras Pareatus

序歌 藍色の風を浴びれば

再びこの声に応え給え、十の冠たちよ。

ここは深淵にして上澄み、実像ウチにして虚像ソト。語り継がれた古の理想郷ファンタジーか、阿鼻叫喚耐え難き地獄インフェルノか。即ちどこにも在らず。静かな水鏡をぐるりと囲むようにに十人分の影が現れる。

「第一冠、来てやったぞ」

「第ニ冠、ここに」

「第三冠、正義の名の下に在り」

「第四冠、虹の向こうから」

「第五冠、虚無より出づる」

「第六冠、武の誓いの下に」

「第七冠、混沌の中より」

「第八冠、狂信の深淵より視る」

「第九冠、遠き理想郷より」

「第十冠、語るに及ばず」

皆、形のみの影にして貌は在らず。様々な世界、時代よりに選ばれ、全ての世界を見渡す権利を得た10人。これらを「冠位」と呼ぶ。

時は来た。使命を果たせ。

声に応える意思は是か非か。それを知る間もなく影たちは、風が水面の静寂を乱すように消えてゆく。

藍色の風に吹かれし者たちよ、今一度その命を散らせ。

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Extra Gear/Apocalypse of the Moon Corydras Pareatus @Soul_717

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