人、物、空気――緻密なそれらの描写が、物語の舞台『プロメテウス』を読者の頭の中にまざまざと浮かび上がらせる。設定やストーリーの異質さだけではない、面白い小説とは斯くあるべしと解らせる、本格派のSF作品。根っからの読書家の方は是非ご一読を。
まず、緻密に練られた世界観。センスのあるネーミング(ルビ)。退廃的な空気を思わせる文体に躍動感あふれる戦闘シーン。そして何より、キャラの格好良さ。生き様。描かれる濃密な火と、硝煙と、キャラクターの掛け合いが、まるで洋画を見ているようです。SFとオカルティックが融合した世界に、これ以上なく合う練られた文体。濃厚で、まったりとしていて、腰を据えて読んでいきたい作品の一つです。