終章【予兆篇】

第18話『新たなる脅威』

 ……暗がりの回廊を歩く人影。


 冷たい石造りの壁に松明の火が灯り、三人の影を映す。

 ミュラとバシスが刑吏に先導され、城の地下の牢屋に踏みいっていた。


 牢の前に立つと、刑吏が鍵を開ける。

 収監されていたのは、青き肌を持つ隻眼の男──カグツチに従って方舟に侵攻した魔族の大都督だ。

 うつむいていた大都督が顔を上げる。


「ガリウス殿、釈放よ」


 ミュラが告げ、扉が開けられる……中から出てきた大都督──ガリウスなる男。


 一礼し、刑吏の先導で牢をあとにした……


     *    *


 曇天の空……遠くからは雷鳴がくすぶる。


 ──魔界だ。


 有機的、幾何学的な意匠が融合した灰色の宮殿。

 謁見の間には炎が灯り、青き肌を持つ重臣らを照らす。

 その玉座に魔界の皇帝はいた。

 黒のローブに身を包んだ皇帝は、ひざまずくガリウスに玉音を下賜かしする──

「ご苦労だった。大都督」

「はっ……」


「──我が軍はこのままあの世界に攻め入る!」


 紅蓮の魔方陣と共に青き炎が噴出し、臣下らの足元を照らす。





 日本はまだ、この危機を知らない──



 

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新日本神話:破 外山康平@紅蓮 @2677

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