陲辺にて
安良巻祐介
ほとり辺はいつでも、怪しく揺蕩う水面に反射する薄明かりでぼんやりと青い。
そんな場所を幾度も行き来するうち、私たちの体も少しずつ透き通って、この世のものとあの世のものの中間に入り込んでいくように思われた。
ほとり辺は笑っている。揺蕩いながら。
それは実は、はるか昔にこの辺りに仆れた女の唇なのだと、私は知っている。
知っていながら、私たちがこうして透き通った涼しげな彼岸の薄荷飴になってゆき、やがてあの女の口の中に食われるまでを、止めることはけしてできない。
陲辺にて 安良巻祐介 @aramaki88
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