第10話【とてつもない魔力】
「‥えっと‥。言ってる意味が分かんないん‥だけど。」
「実際にやってみたほうが分かり易いかもね。一般の人は自分の適正を調べる為に初球魔法を一つ一つ試して、少しでも反応するものを探すといった手間のかかる事をするのだけど、‥」
シルフィードは持ってきていたカバンの中から水晶玉を取り出す。
「みてて。」
何やらシルフィードが水晶に集中し始めると、水晶玉から色のついた光が浮かび上がる。
浮かび上がった色は橙色、紫色、黄色、水色と4つの色だ。
「これは?」
「これは、魔力を流し込む事で自分の適正がわかる魔道具なの。この色だと、私の場合は土、闇、雷、無ね。」
大まかに色分けするとこうだ。
火・赤
水・青
土・橙
雷・黄
闇・紫
光・白
無・水
「すごい。ってかシルフィードも4つも適正があるんだね。」
なんだかんだいっても副総長。やっぱり凄い。
「貴方に凄いと言われても、って感じなんだけどね。ほら、貴方もやってみなさい。自分の適正が本当なのかどうかの証明に」
そう言って手渡された水晶玉に魔力を軽く込めると、水晶玉は七色に変化し、そしてついに‥
パリーン!!!
!!?
粉々に砕け散った。
シルフィードも驚きの表情を浮かべている。
「えーと。壊れてしまったんだけど‥」
バツが悪そうな表情でシルフィードを見ると、シルフィードも困った顔で片手で頭を支える。
「貴方が凄いって事はヒルデから聞いていたけど‥」
どういうことか全くわからん!
そんな時、「おーい。」と少し離れた場所からヒルデガルデが駆け寄ってきた。
「ヒルデ。どうしたの?依頼は?」
「あぁ。早々に終わらしてきたさ。それよりマーリルから聞いたんだけど魔力操作強化用の魔道具を壊してしまったんだろ?」
「あ、‥うん。悪気は無かったんだけど‥ってよりも今しがたまた壊してしまって」
とても申し訳ない気持ちで俺は情け無い表情を作る。
「え!?これってもしかして適正水晶!?」
「その通りよ。こんな物まで壊れるなんて異常よ。これだとさっき強化して渡した魔道具もダメかもしれないわね。」
「まさかだな。どうするか?」
「うーん。」
俺の置いてけぼり感が半端ない。勝手に話だし悩みこむヒルデガルデとシルフィード。
「あ‥あの!」
俺の声で我に帰ったシルフィードとヒルデガルデは俺に視線を再度向ける。
「どういう意味か本当にわからないんだけどどういう事?」
俺の問いかけにヒルデガルデはゆっくりと説明しだした。
ヒルデガルデの説明だと俺はどうやら、元々全属性を扱えていて、精神エネルギー、つまり魔力が尋常では考えられない程の魔力を秘めていたそうだ。
では何故気づかなかったのか?
それは精神エネルギーと魔素の取り入れ方によるものだそうだ。
本来の魔法が1の魔素取り入れの場合、前も言った様に1の精神エネルギーを消費するわけだが、極端な話、魔素5に対して精神エネルギー8みたいになって本来の精神エネルギーと魔素の取り入れる量が大幅に違っていた為だそうだ。
そしてヒーラーの魔法は特に精密である為、3も違えばいくら魔素の取り入れが多くても並以下の効果しか得れないと言う訳だ。
それに加えて、普通の人間の精神エネルギーは脳のリミッターで枷を付けられている。
これも前に話してもらったことだが、段階はあれど魔力解放で得られる力は10%上昇程だそうだ。それでも凄い数値といっていい筈だが俺の場合は本来使っていた力自体が何故か3%程で枷が付いていたらしい。
で、現状その枷を外してみたはいいが、普通なら40%まで引き出せるヒルデガルデの方法は俺の場合30%が限界だったそうだ。
つまりこの現在が本来もつ俺の力という訳だ。
「って言われましても理解しがたい。」
そりゃそうだ。確かに魔力を流して壊れてしまった物があったとしても、実際ヒーラーの魔法はてんでダメだったんだから信用出来なくてもおかしくはないだろう。
「そうだな。まだ信用できないなら試しに魔法をうってみたらどうだ?」
ヒルデガルデがそう提案するとシルフィードもそれに賛成した。
「そうね。多少バランスがブレてても出来る魔法といえば火系のファイヤーボールかしら。これならバランスが崩れてしまっても形が成さなかったり飛ばなかったりするくらいだから。」
「本当に出せるのかな?」
不安になり尋ねるとヒルデガルデが俺の背中を叩く。
「大丈夫だ。一応【#治癒__ヒール__#】は使えるんだからな。」
「なら、一回やってみようかな‥」
こんなに載せられて出なかったら笑い者だ。
心配性な性格でおどおどしながらファイヤーボールを放つと俺の考えは杞憂に終わった。
【ダンジョンハンター】最弱パーティーにいた俺が、気付けば最強パーティーの弟子になっていた。 @kaito0227
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。【ダンジョンハンター】最弱パーティーにいた俺が、気付けば最強パーティーの弟子になっていた。の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます