第4話

(どうしよう……。ここの世界で友達作りなんてしたくねえよ俺…。)

端っこの椅子に座り、他の人達を見る。

(うわぁ……いかにもパリピでコミュ力高そうな人達がどんどん友達作っていく……。)

他をちらっと見ると……。

「あの!お願いします私を入れてください!」

「えっと……ごめんね、君の魔法はこっちにもういるんだ。」

いかにも厨二病拗らせちゃった少女が色々なグループに声を掛けている。

「お願いします!足は引っ張りません!入れてください!!」

「あ、あの、君の魔法…ちょっと……ね?」

少女は顔面蒼白になり、俺の壁の近くに頭を付けて独り言を言う。

「終わりました……これは…もう……終わりました……。」

「……。」

首に掛けていた十字架を出し、天を仰ぐ。

「あぁ、神よ……我に一筋の光を……お恵みを……。」

なんなんだこの子は!怖い…怖いよ……。

「あ、あのぉ……。1人なら俺と組まない?俺も話しかけられなくてs「本当ですか!?」()」

顔の色がよく変わるなこの子…。

「私イオって言います。球体魔法とかを使います!魔道士です!足は引っ張りません!」

入れて欲しいと必死なのは伝わったが、周りの視線が痛い…。

「あー…俺の名前はリヒトで、一応剣士。この世界の初心者だからよろしく。」

「よろしくお願いします!私達お友達なので呼び捨てで呼び合いましょうね!」

痛いほど強く手を握られた。すごい痛い。骨がボキボキいってる。

「そ、それじゃあ何か頼みましょうか。」

騒ぎすぎた事を理解したのか、急に落ち着きを取り戻した。

「初っ端からそんな金使ってもいいのか?」

「あぁ、私母にありったけのお金を貰ったので暫くは底をつきませんね。」

お、おぉ…。

「後でギルドマスターに会いに行ってパーティ申請しましょうね!」

「おう!」

イオは店員を呼び出し、何かよく分からない飲み物を頼んだ。

「リヒトはどうします?」

「え!?」

適当に探して目に付いたやつでいいか…。

「バ、ババニラジュースで…。」

「そんなに安いのでいいんですか?たったの3hなんて…友達同士だから遠慮しなくても…。」

「え?あ、俺適当に選んだしこれでいいよ。」

イオは少しシュンとしてわかりました、と言って店員に頼んだ。

暫く他愛のない話や、美味しい料理の話など聞いた。

「あ、あの…私の魔法について話してませんでしたね…。」

確かに、イオの魔法は聞いたことない魔法だ。

「私の魔法はある意味有名なんです…。迷惑魔法で……。球体魔法ってこの様に硝子玉を出して攻撃するのですが……。」

?普通に強そうに見えるが何か欠点でもあるのだろうか。

「実はこれ……威力は充分なのですが、音がうるさかったり、砲撃力も凄まじくて吹っ飛ぶし、球体魔法の種類によっては詠唱時間が長すぎてその間敵にやられたりするんです…。」

顔を完全に下に下げ、パーティから追い出されないか心配になっている雰囲気がわかる。

「俺は別にそんなこと構わないぞ。そこらへん何とかカバーすればいいだろ。」

イオは頭を上げ、涙の溜まった瞳で見つめてくる。

「本当ですか!?」

「お、おう。それが仲間ってもんじゃねえのか?」

イオは嬉しさのあまりか言葉になっていない言葉を発している。

案外この世界も糞じゃないのかもしれない。

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糞だらけ世界の転生したけど質問ある? ぽてち @poteti-norishio

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