いのちの日

拝啓、猫先生。

 長く続いた寒気もようやく抜けて暖かさを取り戻し、春めいた陽気になってきたこの頃、いかがお過ごしでしょうか。長い間、お目にかかれず、どうされているのかと気にしておりましたが、ようやくご尊顔を拝することができ、誠に嬉しく存じます。

 お目にかかれない間、いろいろなことがありました。一番の出来事といえば、ロシアがウクライナに侵攻をしたことです。

 現在のアメリカ合衆国国務次官ビクトリア・ヌーランドが二〇一四年、ウクライナにおけるクーデターを支援し、反ロシアかつ親ビクトリア・ヌーランドのウクライナ政権を打ち立てたことが、そもそもの原因です。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は、西欧諸国の補助金に乗せられてアメリカの言いなりに反ロシア路線を突っ走り、核兵器保有までちらつかせたのが原因で、ロシアのウクライナ侵攻ははじまりました。

 つまり、ウクライナ情勢はウクライナの問題であるどころかヨーロッパの問題でさえなく、アメリカの問題なのです。なので、プーチン大統領を止めても戦争は終わらない。アメリカを止めない限りは終わらないのです。

 また、日本の公安調査庁がウクライナ政府下のアゾフ連隊について「同部隊は,欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ,同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされる」とあり、「ネオナチ」と書いている。

 完全なネオナチ組織を自軍に組み込んで連隊に昇格させている現ウクライナ政権の思考はかなりおかしい。おまけに政府下の人間が実際にネオナチ思想に基づいてウクライナ東部の人間に危害を加えているので、おかしいと言わざる得ない。

 政治家がやりたいのは、他国に戦争を起こすことであり、決して国民を幸福にしたいと思っていない存在だというのが、今回の騒動で露呈しました。

 猫先生は、どうしてそんなろくでもない連中に、生殺与奪の権を与えているのか不思議に思われているでしょう。私も全く同感です。そんな愚かな連中に権利を与えたつもりはないのですが、金が集まるところはすなわち権力の中枢なのです。

 現在、エネルギー資源や金属、農作物などの市場への影響が大きく、値段が上がっています。そもそも、ウクライナ情勢がなくとも今年は物価高の年でした。

 コロナ後に世界中で行われた現金給付は、当然のように物価高騰をもたらし、その上に脱炭素政策による原油や天然ガス不足が追い打ちをかけたのであって、ウクライナ侵攻の影響は、おまけみたいなものです。

 現在の状況は、インフレと金融引き締めによる景気後退。これらを組み合わせたものをスタグフレーションと呼びます。

 金やエネルギー資源、とうもろこしや大豆、小麦など農作物が軒並み高騰しています。リーマンショックでも見られたように、物価高騰の時は小麦などが高騰するのは当然なのです。

 ヨーロッパのパン籠と呼ばれる地域の一つに、ウクライナがあります。今回の侵攻により小麦の輸出に影響が出ると懸念し、さらなる高騰が起きています。

 大豆やとうもろこしの値段も上がっているのは、バイオ燃料となるため、脱炭素の影響で元々上がっていた原油価格に連動していたのです。

 しかも現在起きている原油上昇の理由は、脱炭素政策なのです。

 脱炭素政策とは、積極的に再生可能エネルギーを使ってゆくだけでなく、原油関連企業への融資を禁止するなどして、化石燃料の生産を意図的にストップさせる政策なので、脱酸素政策で化石燃料を減らしていたところにウクライナ侵攻をしたロシアへの制裁措置として、ロシアの原油や天然ガスに禁輸措置が掛けられ始めているため、まだまだ値段は高騰していきます。

 猫先生はこれを聞いて、人間とはなんと愚かなことだと呆れるでしょう。

 自分たちで取り決め、自分たちで台無しにし、挙句の果てに自分で自分の首を閉めているのですから。マッチポンプは素敵なお仕事と言いますけれど、正気の沙汰とは思えません。

 今回のことで、私たち日本人は一つの教訓を得ました。

 日本が戦争になったらアメリカは助けてくれないということです。

 そもそも日本はかつてアメリカに攻められたのであり、何故戦時中に自分が侵攻した中国から攻められたら、アメリカに守ってもらおうという発想になるのか。

 自国の領土は自国で守らなくてはならないことを、ぜひ国民が学び、同じ価値観を共に享受していきたいものです。

 でなければ、猫先生たちのお昼寝できる世界がなくなってしまいます。とにかく、こんな馬鹿げた争いは終わりにしてもらいたいものです。

 暖かくなっても寒暖差はありますので、お体にはお気をつけてお過ごしください。

                           敬具

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拝啓、猫先生 snowdrop @kasumin

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