一章ー4

「ヒナガ起きて」


「ん······」


「起きてってば」


ヒナガはまだ眠たいが体を起こして声がした方に体を向ける。外はまだ暗い、そして教室も電気を消していて真っ暗な筈なのに私の周りが明るく光っている。私は声のした方向に振り向く。するとそこには七歳位の少女が立っていた。違う浮いていた。


「えっと、誰?どうして私の名前を、しかも浮いているのこれ?」


「クス、気になるの?そうね私は人ではないとでも言っておこうかしら」


この子が何を言っているのか分からなかった、人ではないとか言っているけどどうみても私と一緒で人にしか見えない。そもそもこの子は一体何処から入って来たの?確か入り口は塞いで居たはず。


「あなたは選ばれた、だから力を与えてあげる」


「選ばれたってどう言う意味、力を与えるって」


「そう言うのは良いから受け取りなさい、これからの戦いには必要になるから」


すると人の姿だった少女は刀に変わりヒナガの前まで近づいてきた。


「え!刀になった」


「あなたは剣道とか言うのを習っていたんでしょう、だったら使いこなせる筈よ。ほら手に取ってみなさい」


ヒナガは言われた通り刀のつかを手で掴むと何の変哲へんてつもない普通の刀が青く宝石のように光始めた。


「どうかしら手に持った感想は」


「なんと言うか手に馴染む感じ、それに体全体に力がみなぎっているみたい」


なら良かったわと刀だった形が少女の姿へと戻る。


「これからよろしく頼むねヒナガ」


「よろしくって、そもそも君は誰なのか教えてくれると嬉しいのだけれど?それに名前を知っている理由も君にまだ名乗った覚えないんだけど」


目が覚めると目の前に浮いている少女がいてしかも人ではないとか言い出して刀になったり昨日に続き今日も不思議な体験をしている。正直言ってこの子がせめて何者なのか位教えて欲しい。あと名前を知っている理由も。


「私はあなたから生まれた存在だから名前を知っているの、言うなれば私はあなたの子供だね」


「ふざけているの?」


「ふざけてなんかいないよ、言ったでしょあなたは選ばれたってそれはヒナガだけに限った事だけじゃないんだから」


今各地で黒い雪により体内に取り込まれ魂を蝕み命を奪い異形と言うゾンビになり襲いかかっている。だが黒い雪に浴び続けたにも関わらず命を奪われる事もなくゾンビにならずにいる者もいる。その者はたとえゾンビに傷をつけられても決してゾンビにならない適性を持っているのつまりは戦う為に選ばれたのよ。


「ちょっと待って、私がその適性を持っているのは良いけど戦う為に選ばれたってどう言う意味そもそも何の関係が」


「あの黒い雪の正体はね魔力マナなのそれも属性を持ったタチの悪い物だけどね、これを仕組んだ元凶は神様。つまりあなたの敵、そいつはこれからあなた達と異形達どちらか生き残るかの戦わせる為にこれを起こしたのは


この子はまたしても訳の分からない事を言い出した。黒い雪の正体が魔力とか属性とか神様とか急にファンタジーな話に変わり始めている。


「信じていないって顔ね、まあ仕方がないよね今までそんな無縁で過ごして来たんだし」


「当たり前ですそんな事言って話をすり替えないで下さい」


「信じるか信じないかはあなた次第だけどね」


「仮に聞きますけど貴方はどこまでこの事を知っているんですか?」


そう言えばあの時私が生き残ったのは何故か理由も知りたい。


あの黒い雪の魔力は体が体内に侵入すると魂をむしばみ命を奪われてしまうの、その者達は異形となりその魔力によって動かされている状態。だから黒い雪が降っていない場所で活動できるのは二時間。それ以上は無理って訳ね。だから、その前に黒い雪が降っている場所まで移動しないとダメ。魔力がない場所では体内に取り込んでる魔力が外へと抜け出して消えてしまって維持出来なくなってしまうから。


「貴方が生き残ったのはあれ黒い雪が止んで異形ゾンビが貴方を襲う前。次の黒い雪に移動したお陰ね。貴方が頑張って対抗してくれたお陰でもあるけど」


あ、でも。黒い雪が降ればまた活動してしまうけど、例外もある。魔力を体内に取り込んだまま普通に活動できるゾンビも存在する。


「気になることが有ります、建物で普通のゾンビを閉じ込めて活動出来なくなった場合どうなるんですか。次の黒い雪が降っても建物の中じゃ魔力を取り込む事は無理なはずです」


「確かに黒い雪が降っても活動出来なくなったゾンビは建物の中じゃ取り込む事は無理ね。まあ神様がそんなミスをするとは思えないけどね。きっと何か別の方法で仕掛けると思うわ。そんな事より良かったね、無事に生き延びて。あの時そこに例外が居なくて良かったわ」


私があの時助かったのは本当に奇跡と言うべきかな。


「で、話を続けるけど適性を持つあなたは魔力に取り込まれる事なくむしろそのまま自分の物にできたってわけ。だから本来目覚める事もなかった力が目覚めて私が生まれた。いや、神様によって戦う資格に選ばれ力を与えたられた」


「もし······もしそれが本当だったら私は許しません、これが神様によって人々を異形の者にして異形とならなかった者は異形と戦う資格を与えるなんて·····しかもこれをゲームですって人を何だと思っているんですか!」


「何にも思わないよだってこれは神様に取ってゲームだから」

 

私はあまりにも理不尽過ぎると思った。


「まあそんな私達が生き残るために力を貸すからそう落ち込まないで、頑張りましょう。すでにゲームは始まっているから」


「私は元、人だった者達と戦うしかないのですか」


私は出来るのか、人だった者を私の手で戦って殺すことが。


「全く、いちいちゾンビになった奴等に感情を浸っている場合じゃないよ」


もう彼等は死んでいるも当然何だから。


「もし戦うのが嫌ならゲームから降りていいんだよ。その時は私は消えるから。あ、一つ方法があるよ。ゾンビになった者はどうにも出来ないけどこのゲームを終わらせるには神様を見つけ出してあなたの手で殺せば万事解決になるんじゃない。まあ、ゲームに参加しようがしないが生きれる保証は無い。けど、何もしないよりまだ戦った方が生き残れるかも知れないよ。その為に私がいるんだから」


「だったらすぐに神様がいる場所を教えてくださいソイツを見つけて私が殺します」


「言っとくけど私は神様の居場所まで知らないわよ、例え知っていたとしてもあなたにそこまで辿たどけるかどうか知らないわよ。今、世界は神様がゾンビを使って支配しているんだから」


そう簡単には行けないみたいだ。だがさっきこの子は私に戦う力を与えるためにいるっていった。だったらやってやる、そして神様を見つけてこんなふざけたゲームを終わらせてみせる。


「分かりました私は戦います、そして世界を救っていつもの日常を取り戻すんです。皆が笑って暮らせる為に明日あすを、だからどうか力を貸してくださいアスガ」


「アスガ?それって私の名前なの」


「名前がないと不便でしょ、平和な明日あすが来ますようにって込めてアスガにしたんだけど。それとも君の名前って既にあるのですか?」


少女は首を横に振り私に良い名前を付けて有り難うと可愛らしい満面の笑みでお礼を言った。


そのアスガの笑みを見て私は一瞬ときめいたのは秘密です。

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デット・テンペスト @390162

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