第9話 最後に、もしもの話

 もしも、この地震が真冬にあったら。今回のようにブラックアウトしたら。


 これはおそらく、ジャパニーズアラスカ民のほとんどが考えたと思います。


 ぶっちゃけ死んでたかもしれませんね。


 薪ストーブやポータブル以外の、北海道で普及している暖房器具は、そのほとんどが電気着火式。うちもそうです。

 マッチでも着火出来るタイプの、電気がなくても使える石油ストーブは、もうあまり使われてないでしょう。


 真冬の夜中に暖房止まったら、朝が来る頃には凍死者続出です。

 仮に避難所が開所されても、果たして地域の住民全員が入れるほどキャパがあるでしょうか。

 そして、電気を必要としない暖房器具がどのくらい用意されているでしょうか。


 水も凍結するので、すぐ水落をしなければ止まってしまいます。一般住宅でも避難所でも、暖房設備が動かなければ同じです。


 そして吹雪だったら最悪です。真っ暗闇で吹雪なんて、家からちょっと離れたらすぐ遭難する、いやマジに(笑)。

 なーんにも見えないんですよ、夜に本気で吹雪いちゃったら。

 救助車だって来れないかもしれない。


 自家用車の中で一晩中エンジンかけっぱなす?

 ガソリンが入ってなかったらアウトです。吹雪だったらマフラーが埋まって一酸化炭素中毒の危険もある。

 実際、そういう事故が毎年何件かあります。


 北海道の真冬のブラックアウトは死に直結します。それは住んでいる私達が一番良くわかっている。


 じゃあどうしたらいいか?


 色々(寝ながら)考えました。


 エスキモー並みの防寒着を用意する。

 南極越冬隊と同じような機能のスノースーツを買う。

 毛皮の寝袋を作る(熊以外の)。

 薪ストーブにする。

 庭の木を切って乾燥させて、いざというとき庭でキャンプファイヤーする。

 かまくらを作ってそこで暮らす。

 こーちゃんを湯タンポにする。

 ガスバーナーを買(以下略)


 だめだ、段々ふざけた方向に行ってしまう。ばかばか、ワタクシのばか!


 一つ分かっているのは、ブラックアウトそのものを防ぐ手段は、私には節電くらいしかないことです。

 電力に関する専門的なことは、北海道電力に頑張ってもらうしかない。その上で、個人で出来る現実的な準備を考えようと思います。


 幸いなことにもうすぐ、新しい発電所が完成・稼働する予定です。そこが動けば、今回のようなブラックアウトは回避できるそう。

 ありがたや。電気代高いけど我慢します(汗)。


 なお、泊原発を動かせばブラックアウトは起きなかった、という意見もありますが、泊を動かすことは、私的には絶対なしです。


 原発は人間の手に負えないシロモノ。放射線を完全に遮断できる防護服を作る技術がないのに、核燃料扱っちゃいけないよ。

 フクイチを忘れてはいけないです。万一、国内最大の食料供給地を汚染させてしまったら、日本はたぶん終わりです。


 しかも泊の安全対策は諸外国と比較しても甘く、地震で何かしらの被害を被る可能性もあります。

 その状態でブラックアウトしたら最悪です。フクイチの悲劇の再来です。


 おおげさ?

 いや、決しておおげさじゃないと思うけどなあ。

 原発における素人の不確定な推測はこのくらいで終了いたします。


 〆にひとつ。

 札幌市の災害シミュレーションというのがあります。

 真冬の真夜中に、震度7クラスの直下型地震が起きた場合、一晩で六千人以上の死者が出る可能性があるそうです。そのなかには凍死も多く含まれます。


 観光地として人気の北海道ですが、住むには過酷なところもあります。それでも私にとっては愛すべき故郷です。





(毎年真冬になると石垣島あたりに移住したくなるのは秘密)



 おわり。

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それは真夜中、突然に。 京元 @Kyomoto

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