第12話

 初七日が終わり、麻里江ちゃんに連絡をした。

 麻里江ちゃんは随分と私を心配してくれて、家まで来てくれた。


「私ね、解放された気分なの。親の呪縛にずっと囚われていた。でも死んじゃったし」

 私は、どんな幼少期を過ごしてきたか、どんな家庭環境を過ごしてきたか、麻里江ちゃんに全て話した。


「自分をもっと認めて許してあげて。雪ちゃんが、他人を認めているみたいに」

 麻里江ちゃんの言葉に、涙が出てしまった。


                 〇


 一週間程経ち、幼馴染の友達が家に来てくれた。

 子育て中の忙しい中、私を気遣って来てくれたのが嬉しかった。

 その友達は、子どもを叱ってしまう事によく後悔しているらしい。

 叱らないと、危険な事ややってはいけない事を伝えられない自分が嫌になると云っていた。

 

 親の年齢というのは、子どもと同じだと云うじゃないか。

 子どもが愛しいあまりに、周りが見えなくなっちゃってるんじゃない? 子どもが大事すぎて。

 そう云ったら、友達が泣きそうになっていた。

 何もかもが初めてで正解が解らない中、【言葉】に救われる瞬間があると云っていた。

 私も、自分の発言に驚いた。立場変われば発言も変わる。

 私の母も、正解が解らず、近くにいた父に寄るしかなかったのだろうか。

 

 何だろう。あんまりグダグダ考えるのはやめよう。

 私は、私の考えしか判らないのだから。

 誰かの気持ちが解る訳が無い。

 自分に付随していた、色々な余計な物がそぎ落とされた気分だ。


 母の四十九日が終わった辺りから、私の頭の中が変化した。

 仕事とコラムと趣味と恋愛とファッションとお喋りなどが占めた。

 考えてもどうにもならない事を、考えなくなった。


                 〇●


 母の死から四年が経過していた。

 結婚前提の恋人に、両親に紹介したいと云われた。

 そうか、いくら成人していても、親は無視出来ないのか。

 あれから四年経っている。

 実家には、父と兄と、兄の嫁が住んでいる。子どもも産まれたようだ。孫か。

 帰ってみるか。

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(仮タイトル) 青山えむ @seenaemu

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