世界の片隅では愛を叫べない

ゆえにここより外に出、世界の表舞台で歌う。世界の片隅で私を見つけた人のために。

中華スラムの浮浪児のお話、かと思いきや、がっつりSF要素が入ってくるヘビーな世界観の百合です。
主人公は両親を殺されて街のゴロツキとして生きる女の子、彼女は母親譲りの美貌と歌声をひた隠しにして生きていくことを誓っていますが、ひょんなことからとある『児童施設』の少女と出会い、その運命を大きく変えることになります。
中華系スラム、謎の侵略者に襲われる近未来、そこで生きている主人公や彼女の周りの人々。どれをとっても素晴らしい描写力で、まるで映画を観ているような感覚に陥ります。ほのかな感情をにおわせるのではなく、バチバチに激しく感情をぶつけ合う女の子たちの描写はさすがの一言。女の子の生の感情を忌憚なく書かれるのが最大の魅力と言えましょう。もちろん構成力、世界観の構築なども圧巻ですが。
こちらは連載中の別作品のスピンオフとなりますので、そちらも気になる方はぜひ。
本当に何度読み返したか覚えていないほど何度も読み耽っています。美しいだけではない百合、厳しい世界で生きるために選択を下す彼女らの道を、ぜひ楽しんでいただきたい作品です。

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